〜 森林地帯 〜
その宝石は奇妙だった。 五十朗が破壊の意思を示した時,彼に攻撃を加えた。
反応するその物体はまるで生きた宝石と思わせる。
五十朗とクリスは爆発する球体の放出から避けた。
此方から反撃を見極めた瞬間,クリスは大ジャンプし,宝石に目掛けハンマーで思いっきり叩いた。
バリィーーーン!!
宝石はハンマーで叩き付けられた衝撃で砕破した。
五十朗「やれやれ,これで一件落着」
クリス「次はもっとまともな宝を探そうかしら」
戦いを終えた二人は先へ進もうと,宝石の発掘現場から去ろうとしたその時…
『 おい,まだ終わっていないぞ 』
何処からか声を掛けられる二人。
ゆっくりと振り向くと,割れた宝石の上に人らしき者が立っていた。
その者の全身は黒一色で覆われ,目や口,鼻など,顔の表面に何一つ付いていない。
表情が無ければ,感情が全く伝わらない。
こいつは何者? そして,どこから現れた?
そう考えている内に,二人は直ぐにこう結論付けた。
もしかして,宝石の中で眠っていた?
クリス「ひょっとして,まさか…?」
人の形をした黒い物体「そうだ…,どうやら俺はこの宝石の前で眠らされていたようだ」
そう,宝石の中身は人の形をした黒い物体という,おぞましい存在だった。
五十朗「不都合が重なった…,俺達にとって大変な時にお目覚めという事を」
人の形をした黒い物体「見知らぬ者達にしては中々の腕前だ」
人の形をした黒い物体は彼等の腕前を褒め称えながら,自分の指を彼らに刺した。
…すると
ドキューーン!!
指から黒いエネルギー波が放たれた。 驚いた二人は一瞬で避けた。
突然,彼らに向けて放たれたエネルギー波は分厚い木に当たり,木の幹が一瞬で粉砕した。
人の形をした黒い物体「俺はちと記憶を失っている。
何故,俺がこんな姿の状態で宝石の中に眠らされたのかを…?」
クリス「私達に聞かれても!」
人の形をした黒い物体「ひょっとしたら,お前達とまた戦い合う事で思い出せるかもしれないな!」
そう言うと,人の形をした黒い物体の周りに漆黒のオーラが湧き出て来た。 また戦う気だ!
五十朗「くそっ! ふざけんなよ。
何も知らずに,大人しくあの世で眠って欲しいものだ」