〜 工場 〜
五十朗「溶鉱炉のお陰で物凄く熱いぜ」
額から汗を拭う五十朗。
因みに此処の工場の生産品は主に鉄骨だ。 溶鉱炉は必要不可欠な存在だ。
クリス「あっ あそこに誰かいるよ」
人影を見たクリスは指を刺した。 五十朗は遠目で見詰めた。
五十朗「どう見ても,ありゃ敵だ。 だが,今までとは格が違うみたいだ。
正男の居場所を吐かせてもらうには丁度良さそうだ」
そう言い,五十朗達は向こうで待つ者の下へと近づいた。
そこに待っていたのは,正男を面白半分で卑猥な拷問を繰り返したあのゼットだった。
五十朗「…まさか,こんなところでアンタの顔が見れるとはな」
ゼット「来たな鼠共! 俺の家を滅茶苦茶にしてくれた挙句,
俺のペットの調教を邪魔された。 今の俺のご機嫌は物凄く斜めだよ」
五十朗「お前の事なぞ知った事か。 他の奴等は何処にいる?」
クリス「それに正男君も!」
ゼット「あぁ他の奴等は御空の上に行っちまったな。 何せ,もう一つの拠点だからな。
そしてペットの正男という野朗は俺の手の内さ」
クリス「ペットオオォ!」
五十朗「まさに下衆の極みだな。 元軍人が公から姿を潜めていたが,
まさか敵側に移るとはな…。 アンタは何でこんな馬鹿みたいな真似をする?」
ゼット「そうだな,俺は元は軍人だ。 あの時は御国の為,街の為,市民の為に尽くしてきた。
だが街のお偉いさんは能天気だ。 俺は軍事予算の増額を要求したが,奴等は予算を他へ回した。
物騒な連中が出てくるご時世なのによ!」
それを聞いた五十朗は心の中で彼の言動と性格から
本当に人々の為に尽くしたのかどうか疑う。
ゼット「まったく,この街は本当に失望したぜぇ」
クリス「( 何て人なの…,ちょっとした事でこんな事をするの? )」
ゼット「さてっ そこの警察官。 俺を逮捕しに来たのか?」
五十朗「いやっ 今ここで御縄ついたところで俺達にとって障害が生じるからな。
取りあえず,ここで眠らしてもらおうか」
ゼット「俺を気絶させるって?」
そう言うと,背中に付く2つの鞘からブレードを引き抜き,
それを五十朗の前に差し向けた。
ゼット「来いよ! いくらでも相手にしてやるぜ」