正男「おっ,街が見えて来たようだな。」
暫く歩いてると,向こうから複数の建物が見えて来た。
正男は安心した。 もし自分以外,誰もいない世界だったらどうなっていたかと…
彼は歩を進め,街の中へ入り込んで行く。
〜 街 〜
正男は街の中に入った。 周囲を見渡すと,建物は煉瓦造りに瓦で出来た屋根。
軒下に樽や木箱が置いてある。 …等,いかにも中世の様な雰囲気を漂わせる。
いやっ 寧ろファンタジー系のRPGの世界に入り込んだと言ってもいいか。
街中に歩く人々もそうである。 服の布の生地は綿やリネン。
正男がいた世界にある化学繊維は存在しない。
そこで彼は気付いた。
ここは全く別の世界であるという事を…
何てことだ。 何でこんな事に…? 正男はそう考えた。
だが,いくら考えてもその難題は解決しない。
正男「仕方ない,この世界で幾つかの情報を得ながら,元の世界へ帰る手段を見つけなければ…」
しかし夕刻が過ぎ,辺りの空は一面暗くなっていく。
正男「俺は夕方まで寝ていたのか?
まぁいい,丁度いいところに宿屋がある。 泊って行くか」
〜 宿屋 〜
宿屋にはお金が必要だ。 しかも,この世界ではゴールド(G)と呼ばれる通貨が出回っている。
直前で知った正男は手持ちのコインと人面星で道具売り場に売り込み,かなりのゴールドを稼ぐ事が出来た。
暫くは凌げるだろう。 通貨の問題を切り抜け,どうにか宿屋の中で泊る事が出来た。
正男「まさかと思ったが,この世界ではゴールドがお金として扱っているのか。
俺のいた世界でもコインは通貨じゃなかったが… アハハ」
正男がいた世界で意外な事実を口にしながら,ベッドにシーツを掛けて行く。
この部屋には2段ベッドが一つずつ両側に挟まれている。 言わば一人部屋ではない。
正男にとっては十分に値し,尚且つ安上がりだ。
正男が上の段のベッドで転がり込んでいると,部屋の扉が開いた。
他の宿泊者が入って来たのである。
女1「あれ,こんなところに男がいるよ」
女2「ここは男女共用よ。 安い分,仕方ないわ」
正男「やぁ,アンタらも此処でお泊まりかい?」
女2「見れば分かるじゃない」
宿泊者として入って来たのは女性二人。 どうやら旅人のようだ。
女1「見慣れない格好だなぁ。 どっから来たんだろう?」
正男「あぁ,これはなアンタらにとっては珍しい服を着ているのさ。
何せ俺は遠い遠いとこから来ているからな」
女1「そうなんだ」
正男「あぁそうそう。 ちょっとアンタらに聞きたい事があるんだ。
最近,この辺で何か起きていないか? 何か胸騒ぎしてさ」
女2「ふ〜ん…,この辺で何か起きている訳ではないけど」
正男「そうか,俺の気のせいか」
女1「でも各地で起きているんだよ。 全ては暗黒竜神帝国軍の仕業でね」
正男「暗黒竜神帝国軍?」
そ彼女等の話によると,暗黒竜神帝国軍とは竜神王を主とし,
四天王と幾万の配下を率い各地で破壊や略奪,制圧による支配を行っている。
やれやれ,この世界では物騒なもんが存在した訳だ。 早く帰りてぇ。
それを聞いてゲンナリする正男であった。
だが幸い,魔導師や剣士など優秀な戦士や大国の軍勢により帝国軍の進行は幾つか食い止められている。
それでも予断は許さない状況に立たされている。
正男「そっか,為になる話を聞いたよ。 ありがとう」
女1「どういたしまして!」
重要な情報を聞いた後,灯りを消し一晩を過ごす事になった。
だが,魔の手が身近に迫っている事を…