ゼロス「ふハハッ!! 良イ戦いだ」


お互い炎の力で衝突し合った。
マシュリンやルルンは豪快な戦闘に立ちすくんだ。


ルルン「全く、二人の動きが読めないよ…」


マシュリン「…。」


彼らの戦闘は長くは続かなかった。 
ゼロスが攻撃を止めたのだ。


正男「どうして手を止めた?」


ゼロス「ライバルでアるお前ト、もっト交わりたかったが
そろそロ手引キをしなければなラん」


ゼロスは占領したフレイム王国を放棄すると正男達に宣言した。
彼が去る際にこう言い残した。


ゼロス「直グに相まミえるよウ、ハンでを与えてやル。 さらバだ正男よ」


ゼロスは両翼のジェット機に出力を最大にして噴射。 
火を噴きながら、天井を突き破り空高く舞い上がり、暗雲の中へ消えた。
咄嗟の行動に正男はゼロスを追う気力すら起きなかった。


正男「くそっ、この速さじゃ追う気にもなれねぇ…。 ん? 何か落ちて来たぞ」


ただ去る間際に一枚の紙切れを落としていた。
これがゼロスが言う、自分に対するハンデだと気づきその紙切れを拾う。

紙切れには文字が記されていたが…


正男「おい、この文字は何か知っているか?」


解読不可能だったようで、仕方なく二人に頼み込む。


マシュリン「あらっ これは座標ね…」


正男「じゃあ何で座標が…?」


ルルン「これを瞬間移動の魔法に組み込んで唱えたら、その座標の場所に行けるんだよ」


正男「なるほど…、唱えられるか?」


マシュリン「無理ね…、これは専門外だわ」


ルルン「僕もだよ」


正男「あらら、読む時に難しい顔をしてたから嫌な予感はしていたが…。
はぁ…、また歩きになるな」


???「その悩みはあっと言う間に解決する」


正男「お前はあの時の!?」


正男達をフレイム王国へ送り届けた初老の男、ジェルファが再びその場にて現る。


ジェルファ(???)「君のお陰でこの国は落ちずに済んだようだ。
たが、奴らの攻勢は緩まず何れこの国はまた飲まれてしまうであろう…。
君の腕っぷしとその余裕振りなら勝利は近づくと言ったところだ」


正男「爺さん、あんたの語りは良いから…。
それにお偉いさんが俺たちの悩みを解決してくれるのかい?」


ジェルファ「そこのお嬢さんとは違い、私はどの分野も専門的知識と経験を有しておる。
ほれっ 見せな。 ほうほうあの悪党が果たし状を送りつけるとはな。
まぁこの程度ならひょいっと済ませてやるわい」


ルルン「じゃあ、これでゼロスのとこへひとっ飛びだね」


正男「爺さん、それ程の地位のアンタがどうして
別世界の流れ者の俺に親しむのか知らんが、とりあえず言っておく。
…まぁまぁ感謝はしている」


その後、数時間の休息と支度を済ませジェルファの魔術で正男達は転送された。


ジェルファ(ぜいぜい励むが良い…、わし等の旨味を得る為にもな)




* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 




~ 遠方 ~


???「ようやく最終局面に入ったようだな。
正男よ、此処の事や帝国軍とかどうであれお前を消さねばならん」


正男達が転送されているところを遠くの崖から眺める者が立っていた。
その者は黒い帽子に黒い服を纏っていた。

正男を知り、消す事を固執する謎の黒服男の素顔の半分は
帽子のつばの向きで見る事は出来なかった…




* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 




~ 暗黒竜神帝国軍・城内部・王座 ~


スペール「正男め…、この世界でも俺たち追い詰めさせるとは」

マリネ「思考の乱れは禁物よ」


フレイム王国の奪還の知らせは四天王の下に届いていた。
この世界で畏怖されていた帝国軍が正男の手によって打ち砕かれていた。

まるで異世界転生小説のチート要素を
ふんだんに取り込んだ漫画のような展開で
あっという間に追い詰められている様を受けている。


ゼロス「一体何の話をしている?」


切迫した空気が漂う中、ゼロスがやって来た。


スペール「おぉゼロスか? お前までまたもやられてしまうとはな…」

マリネ「怪我は無い? 私が治療してあげるわ」

ゼロス「いやっ 俺の心配より二人の話を聞きたいんだ」

スペール「正男にやられて気が茫然としたのか?」


どういう訳なのだろうか…? 四天王の会話が嚙み合わないようだ。
この異様な展開に竜神王が王座に降臨した。


ゼロス「まぁいい話は後だ」


フレイム王国の件を伝えようとした二人だが、
竜神王が来た事で割り振ってしまった。


竜神王「皆の者、話し中に悪いが緊急事態だ。 
正男が今、この地に降り立った! 直ちに厳戒態勢を整えろ。
帝国の命運が我と君達に掛かっている」


ゼロス「くそっ! アイツめっ! こうなったら俺の全身が焼き尽くす程の力で迎え撃ってやる!」




帝国軍、そしてゼロス達との決着は近づきつつある。
この戦いにもたらすものは…? そして結末は如何に…?

 

 

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