~ 比叡山頂 ~


空中を舞い、刀で空から斬りつける豪快の戦法に
相手を甘く見た五十郎は一時危うくなったが、相手の動きを慎重に見極め
必殺技で打倒、ついに京都でのロボット騒動は決着を迎えた。


大打撃を受け地面に落下した和郎。
怪我を負ったが命に別状はなかった。


五十郎は武器を仕舞い、和郎を取り押さえようと近づこうとする。


和郎「あれっ? 俺は一体何をしていたんだ…、イテテッ…。
なんで俺はボロボロに?」


和郎が起き上がった時、彼は別人みたいに変わっていた。


五十郎「やはりか…」


実はこの時、和郎と初めて敵対した直後から五十郎は察していた。
感情がこもっていない台詞や調子からは彼の本位では無い事、
彼の身分と立場でこんな大胆な行動が出来る訳がない。

既に和郎は何者からの手によって操られている事を推測していたのだ。

どうやって操っていた…? 
それも憶測ながらも気づいていた。
おそらく和郎が所持していた刀が彼をそうさせたのだ。


五十郎「何処からか分からない刀が和郎をおかしくさせたのか…?
拾うだけでも躊躇うな…、安全確保のために申し訳ないが…」


根拠はともかく、五十郎は事を再燃させない為に和郎の刀を破壊した。


五十郎「ふぅ…」


京都での騒動は一件落着したが、和郎を狂わせたとされる刀など幾つか謎が残されている。
このまま闇に葬られるかと思われたその時…








???「都を走り、機械を操る男を打ち取った一人の男よ。 私の声が聞こえるか?」


…何処からか声が聞こえてくる。
五十郎は声が発した方向へ振り向くと、
空に一機のロボットが光で巨大なスクリーンが映しだされていた。

そのスクリーンには豪華な机の奥に座るサングラスを掛けた男の姿が映っていた。
両目を覆う黒いサングラスを光らせながら…


五十郎(…ずっと俺を見ていたのか? それに…、会った事は無いが、何処かで見た男だ)


決戦直後に起きた大胆な登場でも五十郎は冷静に物事を捉える。

映像から話し掛けられる謎のサングラスの男に知り合った覚えはない。
ただ男の顔を見て何処かで知っているのは確かだ。

謎が謎を呼ぶ奇妙な展開に頭が錯綜する。


???「聞こえているようだな。 私はエルズ。 この事象を引き起こした張本人だ」

五十郎「エルズ…? エルズだと」


エルズと語る男は自ら、淡々と事件の首謀者であると自白する。


エルズ(???)「この世の変化を促す創造の基礎を君に阻まれたのは予想外だ。
私に当てつけても構わないが、その小さな正義では大きな変化を生み出せない。
君が抑えた事柄は変化の前触れに過ぎない事だ」

五十郎「…?」

エルズ「だが、たった一人で命を張る姿には評価に値する。
そこでだ。 君に機会を与えよう。
君がそれを覆す意義と覚悟があるなら私のところへ来るがいい」


誘いの言葉を述べると、映像が乱れだし、やがて空から消え去った。


立ちすくんだ五十郎に自分の携帯が鳴り響く。
彼が携帯の画面を見ると、一通のメールがあった。




宛先はエルズ、そのメールを開いた内容には
自分の居場所を明確に示されていた。





五十郎「エルズという男、知っているぞ…。 でも何故こんな事を…」


黒幕を知った五十郎だが、どこか複雑な心情を抱いていた。

 

 

 

 

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