~ 和風温泉街・道路 ~
この道路は本来、終日歩行者専用道路で多くの観光客が歩く道である。
救急車や郵便車両等、特別な車を除き一般車両は通れない道であるが力彦の車はその道を通っていた。
職員が修理の御礼として、その道を通る事を一日だけ許可を与えてくれた。
何せ、この通れない道こそが国道へ向かう近道だからだ。
力彦「近道になると言われた割に此処、人めっちゃ混んでるじゃねーか。
俺の頭にまた馬鹿が一つ増えたわ」
近道だと言われて通ってみたものの、そこは商店が多く建ち並ぶ主要観光道路。
この日は休日であり、夜間の時間帯であっても各温泉へ行き来する観光客で溢れており、
力彦の車は大勢の人々で遮られており、思うように速度が上げられない。
その為、ブゥーブゥー音を鳴らし車の煙を撒き散らしながらゆっくりと進んでいるが、
これが力彦の不満の表れであり、煙たがっていた観光客でさえ御構い無いしだ。
力彦「あぁもうやってらんねー! 駐車場まで待ち切れねーから、ここを止めよ。
こんなところで止めても、この許可状があれば、ポリコー(ポリ公)に職質食らわないだろう!」
力彦は道のど真ん中に止め車から降り、両手にズボンのポケットを突っ込みながら、周遊を始める。
数十秒歩いていると、力彦を不良歩きはピタリと止まり、顔が店の方へ傾きジーっとある物を見詰めていた。
それは1個55円で売られている温泉卵であった。
それを見た力彦は一時、温泉に入れただけだろと思っていたが、じわじわとその味覚を確かめたいと思い出してきた。
力彦はその店に立ち寄った。 ・・・その時
グシャーーーン!!
力彦「なっ なんだよ・・・。 アァーーー!!」
何か踏み潰された凄まじい音は力彦の耳に届き、一瞬、顔があちらへむき出した。
見ると、茶色の金剛力士像と思わせる謎のロボットが力彦の車を無残にもペシャンコにさせていた。
どうやら屋根の上から飛び降りたそうだ。
力彦「おぅおぅ! 中古車とは言え、なんて事しやがる! 弁償しろーーー!!」
それに驚き、悲鳴を上げなげら逃げ惑う観光客だが、力彦は怒気を表しながら謎のロボットに向かっていく。
謎のロボットは車の上から降り、力彦に向けて一発の剛拳を繰り出すが、力彦はその拳を軽々と飛び越え、
ロボットの頭部にドロップキックを与えた。 その後、ロボットの頭部が吹き飛び、地面へ落ち、斜面に沿って転がっていった。
自身の車をロボットに壊された事で力彦を怒らせたのだ。
力彦「けっ! 俺の怒涛の荒波は収まらねぇな・・・」
周囲を見渡すと、何時の間にか、様々なロボットが屋根上に徘徊しており、
ギーギーと唸りを上げ散らしていた。
さっきまで賑やかだったこの道路が、あっという間にロボットの徘徊場所となってしまったのである。
力彦「こーなったら! 気が済むまで、こいつ等をスクラップにするまでだ!!」