~ 寺 ~
再び、力彦の視点に戻る。
入り口として使われる頑丈な扉を飛び蹴りで壊し、寺の内部へ侵入する。
内部は木造の大広間で天井へは相当の高さがあり、空間は途轍もなく広い。
夜間でありながら、照明は非常灯と何故か点けられていた蝋燭の火のみであり、前方が視認し辛いほど暗く、
寺に訪れる観光客や寺を管理する関係者は騒乱による避難により、静粛感が全体にまで広がる程漂っている。
力彦「わお、貸切状態だな。 いっその事、ここで布団敷いて寝てしまおうか」
長年の歴史を持つ建造物の中で不謹慎な発言をする力彦は、ヘルメットの前面に付く照明を点灯させ、
明かりを頼りに周囲を見渡す、すると暗闇から巨大な金剛力士像が横一列に並んでいた。
どれも、怒涛の顔つきをしており、全身に強烈な威圧感が襲ってきそうだ。
それにも関わらず力彦はふーんと暢気に眺めながら、奥へ進んでいく。
・・・とここで、奴に対峙する事になる。
和郎「チンピラの癖に勘が鋭いな」
力彦「おぉ、そこにいたか。 よう来たぜ、バス運転士さんよ」
像の顔の裏側から和郎が姿を表した。 勿論、装置装着で空中を浮遊している。
和郎「二度もお前の顔が見れるとは、相当縁があるな。 名前を知りたくなる」
力彦「俺の名前だと! ・・・んなもん、どうでもいい事だろう」
和郎「いやっもう分かった。 お前は力彦か」
力彦「おいっ、俺の名前を呼んだよな・・・。 今、どうやって」
和郎「簡単だ。 お前の服に『力彦工務店』って書いてあったからだ」
力彦「あっ納得だ」
和郎「フフフ・・・、これは面白そうだな。 色々、ここで試し甲斐があるようだ」
そう言うと和郎は刀を縦に振った。 何かの合図だろうか?
ズン ズン ズン
力彦の前方から"何か"が歩きながら此方へ向かってくる。
ズンという重苦しい音と地響きが段々と大きくなると、此方へ向かってくる"何か"の姿が徐々に現れてくる。
ある程度の距離が縮まったところで、全体の姿が露になる。
"何か"の正体は金剛力士の姿をした剛鉄怪力ロボットだった。
和郎「力彦よ、不良時代に喧帝と呼ばれた実力を見せてもらおうではないか」
不気味な笑みを浮かべる和郎はロボットに指差しながら指示を行う。
指令を受けたロボットは真っ直ぐ力彦に歩み寄ってくる。
力彦「こっから骨のある戦いになりそうだな・・・」