~ 稲荷大社 ~
建ち並ぶ有名な寺社を見ながら進んでいき一本道に辿り着く。
道の両脇には狐に模した多数の石像が置かれている。
そして、ここで奇妙な事を気づく。 全ての石像の向きが道を歩く者に向いているのだ。
この様な光景から、まるで石像群が『此処は俺たちの縄張だ!』と主張し、道行く者に威圧感を与えさせている。
雑誌では神秘的な場所と謳っているが、実際、異様な雰囲気を晒しだしており一部の人から心霊スポットと称しているという。
そんなオドオドしい場所を力彦は立っている。 何せ、この先は城へ続く近道があるからだ。
力彦「ひでぇ置きっぷりだな」
当然、力彦も石像が此方に向いている事に気味の悪い一言を口にする。
力彦「早いとこ、こんなとこ抜けようぜ」
圧迫感に襲われながらも、多数の石像に挟まれながら歩く力彦。
突然彼の足がピタリと止まる。 気配が感じているのだ。
力彦は周囲を見渡す。 四方八方は紛れも無く狐の石像だが、彼の気構えは緩まない。
シュッ! という微かながら、何かが飛び出す音が力彦に耳に届く。
力彦「そこかぁ!」
力彦は素早く向きを変え、"何か"に向けて拳を与えた。
"何か"の正体は狐の石像に見立てたロボットだった。 ロボットはその場でカモフラージュをしていたのだ。
しかし、力彦は今更だが素人ではなかった。 機械という独特のオーラが彼の身に感じさせたのである。
力彦「俺を舐めるなよ」
そうロボットに実力を見せ付けながら、手をフラフラに揺らす。
奇襲が過ぎた事で気を緩める力彦。
・・・だが突如、強烈な威圧感が
彼の背から襲い掛かる。
力彦「・・・?」
力彦は静かに振り向くと、
そこに立っているのは狐型の戦闘ロボットだった。
今まで力彦は敵の気配を感じていたが、今回の時点で違った。
狐型の戦闘ロボットが気配を出さず、彼の背まで接近を許していたのだ。
比べ物にならない強敵だと悟らせた力彦はすぐさま後ろに振り向き対面しようとした時、
狐型の戦闘ロボットが力彦の鍛え抜かれた腹に向けて連続パンチを放つ。
力彦「うおおおおおおおおっ!!!」
狐型の戦闘ロボットのパンチは1秒間に10発を繰り出す速さを持ち、
分厚いコンクリートの壁を粉々に砕く威力を持つ。
力彦に向けたパンチは10秒間も続き、パンチを終えるとロボットは力彦の顔面を回し蹴りで蹴飛ばした。
力彦「ぐほぁあっ!!」
吹き飛ばされた力彦は多くの石像にぶつかりながら壊されていき、その凄まじい衝撃からか砂埃が周囲に舞い込んでいく。
その後、地面に仰向けの状態で倒れ込む力彦であったが直ぐに腰から起き上がる。
それを見たロボットは前方倒立回転を繰り返しながら力彦との一定の距離まで接近する。
力彦「やるじゃねぇか! だが、次はそうはいかないぜ」
立ち上がった力彦は意気揚々に振舞いながら、狐型の戦闘ロボットに向けて戦闘の構えを出した。