ストーリー

 

~ 山道( 城へ続く近道 ) ~

 

力彦は城へ続く近道を突き進んでいた。

 

関係者専用の道とは言え,地面には落ち葉と雑木で覆われており,とても道とは言えるものではなかった。

さらに道中には多数のロボットが配置されており,また彼は稲荷大社の戦いで相当なダメージを受けていた為,苦戦すると思われた。

しかし、相手は雑魚である。 彼は物ともせず次々とロボットを破壊して行った。

 

 

~ 城塞前 ~

 

山深い木々を抜け出し,ようやく目的地に辿り着いた。

 

力彦の前には巨大な城が聳え立っていた。 

七階建てでそれなりの風格を持つこの城塞は下山市街を見下ろしており,景色を目当てに訪れる観光客が多く賑わっている。

 

和郎はこの場所を力彦との決戦場所として指定されている。

 

 

力彦「あんな道を通るんだったら,虫除けスプレーを持ってこりゃ良かった」

 

 

力彦は襲い掛かるロボットに打ち勝っても,虫刺されには打ち勝てなかった様で

片腕に小さな赤い斑点が3つも腫れ上がっていた。

 

 

力彦「まっ その内,痒みも忘れるだろう」

 

 

細かい事を気にせず,和郎との最終決戦を迎える為,城塞の門を潜り抜ける

 

 

プルルルル・・・

 

 

・・・直前に,力彦の電話が鳴り響く。

決戦への意気込みを電話の音で掻き消され,イライラした力彦は電話を取り出し相手の番号を確認する。

 

彼の苛々は一瞬に収まった。 またしても,稲荷大社で掛かって来たあの男の電話番号だったからだ。

 

あの男は彼にとって気味の悪い存在だ。 だが、あの男は彼の名前を知っている。

 

二度と話したくは無かったが、色々気になる事があったので電話を掛けた。

 

 

力彦「またアンタか? 一体,何の様だ!」

 

電話の声「力彦よ。 抜け目が合った様だが,

あの華麗なる強き殺戮マシンを見事に打ち倒した事を褒めてやろう」

 

力彦「・・・!」

 

 

自分の行動を把握されている! そう気づかされた力彦は一瞬,慌てふためいたが,

なんとか落着きを取り戻す。

 

 

力彦「知らないアンタに俺の事や行動を知られてるとはな・・・」

 

電話の声「そこに君が偶然そこにいるとは思わなかったんだ」

 

力彦「色々,偶然という物が付き纏うよな。 

・・・そろそろ電話を切っていいか? 俺は知らないアンタと長話している場合じゃないんだ」

 

電話の声「そうか,このタイミングで掛けてしまった私にも非がある。 すまなかったな。

最後にこれだけは言わせておこう。 君は私にとって将来性のある人物だ」

 

 

そう強調した後,向こうから電話を切り出した。

力彦は謎の男から将来性のある人物だと言われ,顔がポカーンとなる。

 

 

力彦「今の俺は将来なんてチッポケだ」

 

 

そう切り捨て,力彦は城門を潜って行く。 

 

和郎との決戦が刻々と近づいてくる・・・