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襲いかかって来るロボットを壊しつつ上階へ進んで行くと,別の空間に辿り着く。
鉄製の溝蓋の床にフルカラーLEDライトで埋め込まれた黒の化粧版の壁が貼られ,何処かSFの様な風貌を漂わせる。
力彦「こういう造りには訳がありだな」
そう言いつつ奥へ進んでいくと,ある物に目がとまる。
それは何本も横一列に並べられた分厚い柱だ。
天井まで刺された柱の一部にはガラスが貼られ,その奥には青々しい液体が溜め込んでいた。
何かを保管する為の装置だと認識した力彦は手前まで近寄ると…
力彦「この生物みたいな奴は…」
内部に保管していたのは緑色の液状体。だが,その中心には機械のチップが埋め込まれていた。
所謂,機械化されたスライムみたいなものだ。
力彦「知っているぞ。 要するにアレだ」
電気工事士である彼は意外にもその物体を知っていた。
彼の弁によると,人工頭脳チップを小型の装置に埋め込み,それを緑色の液状体を包み込ませる。
液状体にはナノマシンという細胞よりも小さい機械が混ざっており,液状体を制御させている。
ロボットの内部に搭載されている人工頭脳の衝撃を和らげるのと量産化の為の製造コスト削減を目的に開発された。
この逸品は,技術者と生物工学の科学者から生物と機械を融合の代物と称えられている。
また,本体そのものを機敏に動き回ったり,フェンスを超える程,飛び上がる事が出来る。
その機能からか一部から犬と並んで新たなペットとして注目を浴びた。
既に完成品であった機械は量産を行い多方面に向けて販売しようとした矢先,ある事件が発生。
単体でも動き回るその機械は突如暴走,人に襲い掛かり怪我を負わせるという惨事を引き起こす。
この切欠で世間から恐れる様な存在になり,事件後に製造は中止に追い込まれる。
尚,開発者であった当本人は同事件で故人となっている。
力彦「暴れないように改良すれば良いのに,世間様のせいでそれが叩かれてやがて消え失せた。
やれやれ理系の風向きはやけに厳しい。 誰のお陰で便利な世の中にしたのか分かっているのか?」
そう不満を洩らすと,その場から離れて行った。
力彦は技術を叩こうとする一部の世間には嫌気を刺している様だ。
~ ??? ~
機械化スライムを保管された場所から先へ進んでいく力彦。
力彦「おい,何だこの空間は!」
一本の通路を抜けると,前方には真黒な空間で天井や壁,床が存在しない。
代わりにあったのは,緑色の電子線で組み込まれた構造物が彼方此方にある。
力彦は不安ながらもその構造物を踏みこんだが問題無し,そのまま足場として利用出来ると認識した。
力彦「電子空間でもさ迷ったのか? やれやれ途轍もねぇとこに来てしまったもんだ俺は…」