ストーリー

 

~ 公園 ~

 

駅前へ向かう四車線道路の近辺の小さな公園にて

 

 

帰りの列車には少し時間があり、少年は公園のベンチで腰を掛けていた。

口の中に喉の渇きを感じあったので、公園には水飲み場で口の中を潤う事にした。

 

 

レバーハンドルを握り蛇口から出た水を飲み込み続けている中、少年の視界にある物が映る。

 

 

それは公園の外で歩いていた男性の事で、グレーのシャツに薄黒いズボン、青いヘルメットを見に付けている。

おまけに顔や上半身をフラフラしながら歩いている事から、彼でも可笑しく感じる様に見える。

酒でも飲んで酔っている訳では無さそうだ。

 

蛇行しながら歩く男の姿を気にしている間・・・

 

 

少年は咳き込んだ。 水道の水が喉の奥の気道に入り込み掛けた為だ。

 

 

咳が止み口の周りの水滴を拭う少年だったが、その僅かな行動が気味の悪い雰囲気が漂い始める。

 

 

先程、公園の外にいた男が少年の方に向いてた事だ。 

咳の音で気づいたのであろう。

 

本来なら、気付いたらチラッと振り向く筈であるがどうも違った。

男は少年に向けてじっと見つめていた。 それに男は小刻みに震えていた。

 

 

「うおおおおお・・・」

 

 

男の口から微かながら呻き声を出した・・・

 

 

「・・・おおおおおおおおーーーー!!!!

 

 

声の音量が頂点に達した瞬間、男は少年に向かって走り出す。

 

 

こっちへ向かって来る。

自分にとってかつてない位の危険を感じ取った少年だったが、行動を移る前に男に両手で押し倒される。

地面に仰向けの状態で倒れた少年の上、男が跨り殴りかかって来た。

 

 

そうはさせるかと心の中で言わんばかりに少年は殴ろうとした男の手を掴み、もう片方の手の指に男の顔面に向けて・・・

 

 

 

 

赤い光線の様な物を発射した!

 

 

 

 

光線の様な物が、男の顔面から後頭部へ貫通した。

思わぬ反撃を受けた男は少年の身体から離れ、後方へ倒れ込んだ。

 

 

男が倒れた事を確認すると、少年は立ち上がる。

 

この少年は唯の人間では無かった。 何せ、指から赤い光線の様な物を放てるからだ。

 

 

服に付着した砂を払い落すと、少年は男の遺体に近づいた。 

この男は人間では無かった、血や肉片の色が通常とは異なるものであった。

 

少年は襲い掛かった時気付いた、男の目がドス黒く瞳が赤かった事。

それが人間ではない事を心に感じていたのだ。

 

 

一難を逃れたものの、また一難がやって来た。

それは同じ姿をした先程倒した複数の男が公園の方へ寄って来たのである。

 

長居は出来ないと悟っていたのか、少年は公園から出て行った。

 

 

少年の孤独な戦いが始まる!