ストーリー



~ 商店街 ~

ドラゴンと言えば、硬い硬質の身体と空を高く舞う羽、
全てを焼き尽くす炎がイメージとして付くが、このドラゴンに似たような怪物は一味違った。


ゴォォーという重苦しい轟音と共に、怪物の口から噴き出す青く輝く灼熱の炎。
背中に装着された無機質かつ鉄で出来た円錐台の砲台から撃ち出される青く光る砲弾。


炎を噴くだけでも恐ろしいのに背中に付く砲台がオマケとして付いたら非常に厄介だ。
初めは見た目だけで不利に陥ってしまうと感じてしまった少年。
だが、戦っている内に気づいた事があった。


口から熱気と焼け焦げる匂いが口からの火炎放射の兆候を捉える。


剛鉄で出来た砲台のお陰で背中から重心がかかり、
思うように早く歩けない。 亀より速い位だ。


厄介事と思われた砲台には砲身を傾ける装置が無くそのまま台と固定している。
さらに砲弾のスピードがそんなに速いものでは無かったため、
着弾先がちょっと強い素人でも分かるくらいだ。


相手の動きと妙な欠点を捉えた少年は徐々に
炎を噴いた後にスコップで頭を殴ったりと様々な攻撃を何回も仕掛ける様になる。


スコップで攻撃され、両目を失明されても怪物は少年を襲い続けた。
闘争心だけが怪物の本能だろう。


怪物は砲台から砲弾を発射した。
だが、道路に着弾した砲弾は道路に少々ヒビが入るだけで爆発はしなかった。
砲台の内部にある砲弾の無限に生成させる機能に不備が起きたのだろう。


それに気づかなかった怪物は少年に向けて口から青い炎を吐こうとする。


何かに思い付いた少年は爆発しなかった砲弾をスコップで
ゴルフのようにスイングショットして、怪物の口へと転がした。


失明した怪物はそれに気づかず、至近距離まで
転がってきた砲弾に巻き込む形で噴き出してしまった。


凄まじい衝撃音と共に爆発する砲弾。 その爆風が怪物の頭部に掛かった。
爆風の威力で怪物の頭部は粉々に粉砕、肉片が雑居ビルの3階の窓にまで飛び散り、割れてしまった。
少年は飛び散る肉片に当たるのを避けるため、両手を頭に抱えながらしゃがみ込んでいた。


これでドラゴンに似た怪物との決着が付いた。


少年は動かなかった怪物に近づいた。
怪物の頭部は砲弾の爆発で消失しており、青色に染まった断面図が見える。
血肉から流れる青い血が地面に滴り落ちる。


色々、相手の能力が欠けてたとは言え下手をすれば命を落としかねない戦い。
戦いの大変さをシミジミ思いながら、両肩を少し上下し口から呼吸を繰り返す少年。


怪物が死んだ事を認知した少年は行くべき場所の為に商店街から歩もうとする。


だが、その時だった。 揺れと共に大きなヒビが怪物の中心から広まり、少年の足元にも達する。
ヤバいと感じた少年は離れようとするが時既に遅しだった。


ガラガラとした音と同時に道路が崩落。
足を崩した少年は死んだ怪物と共に道路の下に落ちてしまった。




~ 地下放水路 ~

道路の崩落で放水路に落ちた少年は意識を取り戻す。
顔を左右に振り向いて状況を把握する。 前方にはコンクリートの円筒型のトンネルが見える。
地には水が流れていることから少年は地下放水路に落ちたと認識する。


少年は立ち上がると、この薄暗い放水路から脱出するためスコップを
握りしめトンネルへと入って行った。