ストーリー

大型病院へ辿り着いた。 職員の緊急報告通りだった。 
建物の周りには敵が彼方此方にうろついている。 防壁を張られていたであろう玄関が無残に壊されている。
この惨状を見て悪い展開を迎える事を少年は悟る。

無駄な戦闘を避けようと壁際に隠れた。
だが、背後から人影が迫っていた。

「貴方は確か…? この街に来た〇〇よね」

後から声を掛けられ少年は心臓が悪くなるほど驚いたのか、身体を硬直、眼球は僅かに突出。
だがその気配は敵ではないと即座に分かった。 少年はゆっくりと振り向いた。

声を掛けた者は彼にとって初見で出会った人。 幸江だ。

「無事に街から出たと思っていたけど違うじゃない? しかも何故こんなところに?」

少年は軽く説明した。

「大胆ね…、力を持った自分が何かをしなければと思って此処に来たのね。 
まぁこんな人手の無い街、対応が遅い都会じゃ心の何処からかそう突き動かされても致し方ないわね。
あぁ〇〇、皮肉で言ってる訳ではないのよ。 貴方は貴方なりに頑張っているわ」

皮肉? 
それはもしや、自分で守るための能力がこの街で戦う事になったと捉えてもいいのだろうか? 
そう思う少年。

「あぁあ、世の中不公平よね~。 弱いままは弱いまま。 弱いままじゃ何しても報われない。
…きっと求めたくなるわ。 社会的に強い奴らを木端微塵にさせる弱い人達の集まりを引っ張っていく真の味方。
そう感じている人は誰もが羨望したくなる。 貴方もそう思わない? ねっ そう思わない?」

こんな状況で社会の虚しさを強弁する。
幸江という人は何処か抜けているようだ。
少し引き気味に感じた少年。

「あぁごめんなさい…、ちょっと怖かったかしら。 でも少しは分かって欲しいかな」

会話した後、幸江に隠れるよう促した。
少年は病院の中へ入って行く。