曲がりくねったパイプで組み合わされた巨大な建造物の内部を潜り抜ける少年。
パイプの上を進み、パイプからパイプへ飛び移り…。 とにかく先へ進む。
レポートという課外活動でこの街に来てからまさかこんな事をするなんて思っていなかった筈だ。
未知の怪物、下水道からの脱出、市役所にいる人達の救出、
発電所の復旧、ヘドロ沼のアスレチック、病院、井戸の底の洞窟…。
年端のいかぬ少年にとってはあり得ない経験が何度も続いた。
されどあり得ない出来事続きは幸江を止めてこそ終える。
少年はこの貴重な出来事をレポートに書き留めておこうかと考えていたが、
穏やかな暮らしが一変するとふと思い、心の中で取り下げる。
家の中で手記を書くに留めておこう。 少年はそう決める。
少年はスコップを握り、奥へ奥へと進んで行く…。
~ 最深部 ~
「ついにアイツが来るのね…、もう後は引けないわ」
その頃、少年が迫っている事を知っていた幸江は反撃の準備を整っていた。