注意:延焼中の材木はトゲ扱いなので触れると即死です



ストーリー


鶴来山市に惨劇を起こした張本人 幸江の最後を見届けた。
しかし、事の成り行きは更に思わしくない方向へ一気に突き進んでいる。

幸江の言う"この世を変える力を持つ者"が目の前で解き放たれたのだ。
生気の無い白い肌の男が世の中を変える。
それを聞いただけでも訝しむ。 どう見たら、この世の理が変わるというのだろうか?
幸江の感性は聊か理解に苦しむところである。

僅かな疑問点を突き付けている場合じゃない。
男がこの施設から逃げたからだ。
少年は足早で男の後を追っている。

後を辿る度に上へ行く坂道や階段が出ている。
心臓が恐ろしい程に震えている。
途中からまた下へ行くという事があって欲しい物だ…。

心臓が鳴りが納まらない程の不安が的中した。
少年が立つ道の先には光が差し込まれている。
炭の匂いが含んだ熱風が此方に向かってふぶいている。

あれは外だ…。 外へ続くもう一つの出口だ。
焦げた匂いを嗅ぎながら外へ出る。

洞窟から出ると、周辺は火災で燃え広がっていた。
前まで薄暗だった森林が業火の炎で包まれている。
悪夢に相応しい光景だ。

少年は副流煙を避ける為、タオルにペットボトルのお茶を掛けて浸し、それを口に覆う。

燃え盛る枝木を避けながら少年の足は動き出す。