「グオオオォーーッ! 引ケ! 引クガイイ!」
仮面を被った青い鬼、片言を放ちながら棍棒を振るう。
まるで門番に相応しい体格と実力。
しかし鬼の棍棒は悍ましいが地面に叩きつける事はしない。
あぁ分かった、ここは洞窟内の滝壺で足場が劣悪。
下手に叩けば地面が崩れたりすると考えているのだろう。
鬼は場所を考えて戦っている事を理解した少年。
あの時、市役所の片手シャベルの男との戦いで思い出したカウンターアタックを使う価値がある。
鬼はまた棍棒を大振るいしようとそる。
この時の鬼は力を込める為、両脚が開いている。
そこだと思わんばかり、少年はスライディングで鬼の股下を潜る。
鬼は股下を潜る少年の姿を捉えた。 急いで振り返ろうとする。
膝裏に激痛が走った。 少年にスコップで膝裏に向けて強烈な一突きを放たれたのである。
獰猛な鬼も足を動かす神経を傷つけられば立つ事が難しい。
身体が支えきれなくなったのか、その場で片膝を付いた。
少年はその隙を逃さず、手から放つ赤い光弾で鬼の顔面に連射。
視界を奪った後、スコップで鬼の頭部を何度も殴りつける。
そして弱った鬼の頭部にスコップの大振りで叩きつけて吹き飛ばす。
「グギャアアアアア!!」
鬼はそのまま滝壺へ落ちた。
もう這い上がる事は無いだろう。
鬼の結末を見届けた後、少年は先へ進んで行く。
~ ??? ~
「待っててね…、貴方を必ず目覚めさせる」
幸江は謎の薬品で浸ったガラス製のショーケースにもたれかけ、ケースの中に向けて静かに語り掛けていた。