ストーリー

 

~ 施設・屋上 ~

 

施設内を進み,最終的に屋上まで辿り着く二人。

屋上にはヘリポートが設置されていた。 その上に見慣れぬ物が置かれていた。

 

由美「おやっ ヘンテコもんがあるぞ」

 

五十朗「へぇっ…。 謎の施設にそういう物が作られているんだな」

 

 

見慣れぬ物の姿とは,大きな円柱の鉄の物体だ。

そして,両側に長方形のガラスの板,下部に光線銃の様な物が付けられている。

 

それを見た五十朗。 ある物を思い浮かべる。

 

 

五十朗「これは宇宙へ飛ばす為の衛星じゃないか?」

 

由美「えっ?」

 

 

「その通りだよ」

 

 

何処からか男の声がすると,二人の背後から斧が横回転しながら飛んで来た。

気付いた二人はその場でしゃがみ込み,奇襲を避けた。

 

 

???「俺が再び,事を起こした事であの赤帽子の男が来るかと思ったら,まさか警察官とはな。

だが,その中にはアイツと同じ実力者とは…,見直したもんだよ」

 

 

背後に誰かがいる,そう感じた二人は後ろへ振り向く。

そこに斧を持った黒服の男が立っていた。

 

 

???「おいっ 俺の声を分からんのか? 施設の下でお誘いの話を聞いた筈だ」

 

由美「まさか,アンタが?」

 

???「思い出した様だな」

 

五十朗「という事は,お前が張本人だな」

 

???「その通りだ。 俺はダーク・ゼイター。 この事件の首謀者,そしてZECTを束ねるリーダーだ」

 

五十朗「リーダー? アンタ,俺の知り合いに倒された筈じゃ」

 

ゼイター(???)「俺は人間じゃないからな。 あんな事では死なん」

 

由美「生きて帰ってきては,二度もこの街に酷い事するとはよぉ…」

 

ゼイター「あぁ,この街では俺の手持ち品を使って色々したなぁ。

だが,これ等は軍や警察,赤帽子の男に注意を引かせる為の策。 いわば,誘導作戦だ。

それに,この街に来た本当の目的はこの軍事衛星を頂く事である」

 

由美「軍事衛星?」

 

ゼイター「そう,この衛星もこの施設,この人工島はあの会社の物である…」

 

 

ゼイターはこう述べる。

 

 

俺はとある地区の山間にある新興ニュータウンで部下を使って暴動を起こさせていた。

その際,偶然にも技術系の会社が重要な開発拠点の一つであるビルを設けていた。

俺が当初,そういう会社には興味は無かったが,目的の為に襲撃対象を含めた。

 

深い痛手を食らった技術系の会社は俺達に対抗する為,あるプロジェクトを打ち出した。

それが,軍事衛星事業だ。 それで俺達を殲滅させようとしていたのであろう。

 

だが,俺にとっては軍事衛星は格好の的,それを得る為に今回の暴動を引き起こしたのだ。

それさえ奪えたら,こっちで量産が出来るし,いずれは戦力も以前よりもさらに増す。

会社にとっちゃあ,対抗手段に裏目が出た様なもんよ。

 

 

ゼイター「お前らのお陰で作戦に綻びが出たが,どうにか衛星を手に入れる事が出来た」

 

由美「そうか…。 その為に,フジヤマがあんな惨い事に…」

 

ゼイター「あぁ,元公務員の事か…。 やはり,ああいう結末になるのは致し方ない。

それに,物凄く良い奴が非常識な人間のせいで殺しに染めるなんてよ。 皮肉と思わないか?」

 

由美「おめぇも非常識な野朗だろ! 何で,フジヤマさんと共にしたぁ!」

 

ゼイター「あぁそれは,HITのリーダーが寄越してくれんだよ。

最近出来た知り合いにしては良い活躍振りだった」

 

五十朗「そういや,リーダーの野朗の誘いがあったってフジヤマから聞いていたしな」

 

ゼイター「なぁもういいか? お前らに全てを話したから,これ以上の会話は無用だ。

お前らの援軍呼び寄せの為の時間稼ぎをするかもしれないからな」

 

由美「援軍? 馬鹿言うんじゃないよ! アンタが作った物はみんなお陀仏や。 次はお前や」

 

五十朗「そうだな,ゼイター。 後は貴様だけだ。 衛星をタダでお持ち帰りする訳にいかん。

もし,手に触れるような事をすれば俺達の手で叩切ってやるからな」

 

ゼイター「もう,お前らが来る前から触ってるさ。 ならば来な,今回の武器がお前らの餌食となる事を!」