忌々しい出来事があった。

 

 

山の盆地にあるとあるニュータウンで武器を持った集団が暴動が起きた。

 

 

周辺の物を破壊し,人々を傷つけ,その街のインフラを混乱させた。

 

 

警察機関すら手に負えない状況であり,そこにいる誰もが絶望に陥った。

 

 

そんな時,ある赤い帽子を被った男が駆けつけた事で

絶望の状況から這い上がり,街の各所にいる武装集団を次々と鎮圧,

そして暴動から終止符を打った。

 

 

だが,突然の悲劇で誰もが心を傷ついていた。

 

 

あの忌々しい出来事から1ヶ月,元の平穏な日々が取り戻しつつあった。

 

 

そんな中,また別の場所で

あの同じ出来事が起こり出したのである。

 

 

RED ZONE

 

 

 


 

 

舞台はサウスレシアという地域。

ニュータウンとは違いその地域の人口密度が低く,全域の殆どが草原や森林で広がっている。

 

 

ただ各所で学者達が調査をしたところ,様々な遺産が残っているという情報を得たらしい。

 

 

そのきっかけで地元や役所では,その遺産を基に地域を活性させようと,

国からの認可により観光特区に指定された。

 

 

その名もサウスレシア観光地区である。

 

 

遺産のある場所へ続く道路の整備や特産物など,観光に徐々に力を入れている。

 

 

しかし,他方からある疑問が投げかけてきた。

まだその遺産のある場所では調査の途中である。

 

 

ある観光特区に疑問を持った学者によると,そこでは数百年前に恐ろしい伝説があるという。

それを聞いた他方の人々は,実在して取り返しのつかない事になるのを恐れ,

その地区で観光特区の撤回を求める運動が起き始めたのである。

 

 

今でも観光に関連する事業を続けているが,役所や地元はその反対運動に手を焼いている状態だ。

 

 

そこで,あの集団に目を付けられるとは・・。

 

 

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〜 和風の面影が残る街 〜

 

ここはかつて忍者同士が争っていたという歴史が存在し,今でもその面影を残している。

ある学者や地元の人の話によると,どこかに妖刀が隠されていると言われている。

事実なのかどうかは現在も調査を行っている。

 

 

〜 商店が並ぶ道 〜

 

土産物が並ぶ和製の商店が並ぶこの道で一人の若い男性が,

売り物を眺めながら歩いていた。

 

 

彼は一般人の服装とは違い,警察と思える服装をしているが,その姿こそ警察官である。

 

 

彼の名前は五十朗,正男が住む街からやってきた警察官である。

警察学校時代は厳しい訓練を乗り越えており,剣術が達者である。

その優勢ぶりか,今では巡査長という階級までのし上がっている。

 

 

そんな彼は今日,自分が勤務している署から休暇を貰い,この地区へやって来た。

警察官の姿で旅行するのは現実ではありえない事だが,

これは治安維持や防衛の一環として許されており,武器の所持も許容範囲として含まれている。

この様な適用は,あの忌々しい暴動事件が起きた事がきっかけとも言われている。

 

 

ただ彼は警察官としての気質があり,旅行でも周囲に怪しい人がいないか警戒している。

 

 

五十朗「ふぅ〜, せっかくの旅行なのにこの仕草を何とかしないとな。

でもそうする訳にはいかんな。」

 

 

そう呟いた後,五十朗はある商店の横にいる一人の女性を目にする。

 

 

その姿は警察官に似た服装だが,構造が明らかに違った。

それは忍者( いわゆる『くノ一』 )と思わせる様なものである。

 

 

五十朗は本当に警察官なのか,あるいはコスプレなのか・・。

顔を確認したいが,帽子が下向き,口にはマスクもしてあるため素顔が見えない。

彼女のその姿に気になっていたが,それ程怪しくは無かったので,そのまま素通りした。

 

 

女性「そこのアンタ,五十朗やろ。」

 

 

その直後,一人の女性から,素通りをしようとした五十朗に声をかけられた。

自分の名前まで呼ばれるとは思ってなかった五十朗はビクンと体を震えてしまった。

 

 

五十朗「なんで俺の名前を知ってんだよ・・。 それに,その声はまさか・・?」

 

 

女性は直ぐに帽子を上向け,自身のマスクを外し素顔を現した。

五十朗にとってはその顔に見覚えがあるものだった。

 

 

五十朗「由美か? こんな所で何やってんだ?」

 

 

由美「そっちこそ何しに来たんや! こっちはな,警備の仕事でやってんだい。」

 

 

彼女の名は由美,女性警察官であり,五十朗の同僚でもある。

五十朗と同様,剣術が達者である。 また”田舎風に混じった関西弁”が彼女の特有の喋り方である。

因み敬語もちゃんと喋る事も出来る。

 

 

五十朗「そういや,聞いた事あるぞ。 ここは市が設立して30年立っている。

それを30周年の記念としてイベントやっているんだ。」

 

 

そう,この街で30周年イベントをやっている。 由美は特別勤務で,警備のスタッフをやっている。

また街の風情に合わせて,服装を忍者風にしている。

 

 

五十朗「確か,どのスタッフもそういう風にしているな。」

 

 

二人が会話している最中に二人の公務員が近づいてきた。

 

 

公務員1「やぁそこで何しているんだい?」

 

 

気軽に二人に声をかける公務員1。

 

 

由美「あっ ウエモトさん。」

 

 

五十朗「ウエモト・・?」

 

 

ウエモトとはこの街の役所で働いている公務員。

彼はこの地区の観光事業の主任に任されている。

 

 

ウエモト(公務員1)「ん? この人は君の知り合いかい?」

 

 

由美「えぇ,アタシの同僚なんで・・」

 

 

五十朗「あぁ,自己紹介ぐらいはしときますか。 俺は五十朗と言うんだ。」

 

 

ウエモト「あぁ,五十朗さんですね。 私はウエモトと言うんですよ。」

 

 

五十朗とウエモトは握手で交わした。

 

 

五十朗「それに,横にいる人(公務員2)は誰なんだ?」

 

 

ウエモト「この人はフジヤマって言うんだ。 彼は監視委員で,

各所の遺産を回って調査や見回りをしているんだ。 ”怪しい人がいないか?”もね。 」

 

 

フジヤマ(公務員2)「財務の管理も俺がやってるんだ。」

 

 

五十朗「そうか・・,いろいろ苦労しているみたいだな。」

 

 

フジヤマ「そろそろ挨拶はしたいところだけど,

こっちは次の仕事で一杯なんだ。俺は先に行ってるよ。」

 

 

フジヤマはお寺の方に向かって,走って行った。

 

 

由美「挨拶ぐらいしとけよ。 こっちも忙しいしさ」

 

 

五十朗「まぁカーッとなるなよ。 我慢も大事だぜ。 その内良い事起こるさえあるんだから・・」

 

 

由美を落ち着かせようとした途端・・

 

 

ズガァーーーン!!

 

 

五十朗「何だ!!」

 

 

突然,爆発音が響いた。 その衝撃は向こうの橋から起きていた。

 

 

由美「おい五十朗・・! どこが我慢すれば良い事が起こるんや!」

 

 

五十朗「そんな事を言っている場合じゃない! 直ぐに現場へ向かうぞ!」

 

 

ウエモト「私は観光客やスタッフの避難をさせておきます。」

 

 

二人は爆発音が響いた場所へ向かって行った。

 

 

これが彼等のあの集団との戦いの始まりであった。

 

 

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