〜 貨物列車・先頭車両 〜
狂人「グワアアァァァァーー!」
これ程ダメージを負い,ついに精神に異常をきたした狂人は
両手のバーナーの炎を噴射しつつ,歩き回りながら振り回しを行った。本当の意味で狂人になったのである。
由美「あわわわっ・・ 」
怖がった表情で焦り出した。 嫌な予感の浮き彫りである。
五十朗は事が起きる前に,素早く銃を取り出し,片方の手で狂人の顔部分の方に向けた。
五十朗「銃で撃ち押してやる!」
6発撃ち込んだ。 その内,2発が顔面のスコープ部分に当たる。
狂人「グエエェェェッ!! (顔面のスコープ部分に撃たれる」
顔面のスコープは撃たれた銃弾で割れてしまった。
その破片が狂人の目に入り,視覚不良を起こしてしまった。
狂人がある程度引き下がると,両手のバーナーを徐々に後ろへと曲げる。
五十朗はその行動を”力を溜め込んでいる”と察知した。
狂人「グオオォォォーーーッ!!」
前へ振り落とした時,両手のバーナーの口から
途轍もない大きさを誇る炎の弾を同時に発射した。
焼き焦げただけでは済まされないその威力は,まさに大技とも言える。
由美は咄嗟の行動で車両と車両の間にある連結部分に潜り込み,大技を喰らう事は無かった。
五十朗もこの技を避けると思われた。
しかし,彼は違った。 前方に向かって疾走をし,
二つの巨大な炎の弾の間をすり抜ける。
そして剣を出して,狂人に近づいた処て斬り付けた。
狂人「ギャアアアアアアーーー!!」
右肩から右腹の部分の処まで斬られ,吹き飛び,前方の線路に落下した。
ギギギギギギギギッッ ドゴォーーーン
先頭車両に火花を放ちながら轢かれ,衝撃に耐え切れず爆発した。
狂人の残骸は車両の下へと潜り込んだ。
五十朗「ふぅ〜,命がけの戦いも最高な気分だな。」
由美「危ない事をするもんだなぁー,五十朗。」
五十朗は列車の上へ這い上がろうとしていた由美を引き上げる。
由美「またフジヤマを逃してしまったね・・ 」
由美は服に付いてた砂を手で振り落とした。
五十朗「まぁな,だが奴を捕まえる事を第一の事では無いぞ。
俺達の本来やるべき事は犯罪組織による破壊活動の鎮圧だ。」
由美「そうだね。 ・・でも,この列車どこへ行くんだろう?」
五十朗「確か,方角的には南の方へ進んでいる。
・・・という事は海の方へ向かっている事になる。」
由美「はぁ・・・,何のために列車を動かしたんだろう。」
そう呟いたその時,突然 列車が揺れ出した。
まるで岩場を乗り上げている様なその響きはいかにも・・
五十朗「やばいっ・・ この列車は直ぐに脱線する! 飛び降りるぞ」
由美「わーーーっ!! 何も恵まれてないけーーん」
二人は無我夢中で列車から飛び降りた。
ドドーーーーーン
激しく揺れた貨物列車は一気に線路外へと飛び出し,横転して脱線した。
二人は幸い,列車の飛び降りで距離が離れていたため巻き込まれる事は無かった。
五十朗「あぁ危なかった・・。」
由美「イテテテッ・・,咄嗟の判断だね。」
五十朗「由美っ 身体を退かしてくれないか?」
由美「ありゃりゃ・・」
仰向けになった五十朗の上に由美の身体全体が乗っかっていたのだ。
由美は直ぐに横に転がって立ち上がり,五十朗も両手を地面に押し上げて立ち上がる。
由美「んでどうする? 列車使えなくなったし・・」
五十朗「仕方ない,ここで最先端技術の象徴とも言えるべきものを使うしかないな。」
そう言った後,後方からパトカーが砂をタイヤで撒き散らしながらやって来た。
二人が接近するにつれ,速度を徐々に落ちていき,やがて五十朗の側で停車した。
由美「これアタシ達が乗ったパトカーじゃない!?」
五十朗「この車には自動操縦システムが搭載しているからな。
俺の携帯電話一つで迎えに来てくれるんだぜ。」
由美「はぁー成る程,じゃあ乗ろうや。」
二人はパトカーに乗り込み,海の方へと走って行った。