~ 森林 ~
リックス「なぁ、地面を見て何か思わないか?」
エリーナ「緑の泥が奥まで撒き散らしているみたいわね。」
二人の前方には、地面の彼方此方に緑の泥が付着していた。
その付近に生やしていた雑草や草木が、泥の物質に反応し、枯れてしまった。
リックスがその泥を嗅いで見たところ、臭気が凄いようで、直ぐに鼻がムズムズし、泥から離れた。
リックス「う~わ、ガチムチ男だらけの更衣室の中ほどではねぇけど、臭いのは臭いぜ。」
エリーナ「・・それ聞くと、想像するだけで恐ろしいわ。
んっ! 何かがこっちへ近づいてくる!」
リックス「あん!? クセェ野朗のお出ましか?」
二人は剣を前方へと構えだす。 森の奥の暗いところから、何かが此方へ近づいてくる。
それと同時に、地面をドンと踏み出す音が、段々と大きくなってきた。
二人との距離がある程度近づいた時、その姿を現した。
エリーナ「なんだ、よく見る野生のドラゴンじゃない。」
リックス「いやっ よく見ろ! 下半身が鉄クズで出来てるみたいだぜ。」
二人の前に現われたのは、濃い緑色のドラゴンだった。
・・と思われたが、リックスの言うとおり、下半身が股間部分から足まで鉄で出来ていた。
リックス「どういう事?」
ドラゴンが二人の方を見ると、狂気に満ちた顔をして吠え出し、口から火の玉を3連射した。
驚いた二人はその場から直ぐ離れた。 火の玉は近くの木に辺り、一気に木の頂まで燃え上がった。
リックス「コイツ、火の玉を吐き出しやがった。
コイツはふつう、口を開けて、しばらくしたら、炎が拡散して噴出す筈だ。
なのに、コイツだけは違う! 帝国軍の新種か?」
ドラゴンは羽を広げ低空飛行し、リックスに向かって体当たりを仕掛ける。
リックスはスライティングし、ドラゴンの真下へ突き進む形で、ギリギリに避けた。
ドラゴンは少し太めの木にぶつかり、木の幹部分が木端微塵になり、木の破片が周囲へと拡散する。
リックス「コイツは並ならぬ凶暴さを持ってるぜ。」
エリーナ「これが街に向かったら、想像するだけでも恐ろしいわ。
ここは、頭ごとバッサリと切っていきたいところだわ。」
リックス「あぁ、まずは魔法とか色々して弱らせないとなぁ!」