ストーリー

~ エルティナス街 ~

 

腐臭の漂う泥と醜い怪物に覆われた街の中で二人は王の娘を捜索していた。

だが、何処に行こうが、そこにあるのは泥と怪物、横たわる人の死体だけであった。

この状況じゃ、怪物に襲われたのだろうか・・? と、頭の中に浮かべる。

しかし、王の話によると、娘は活発な性格だ。 怪物から食われてたまるかと言わんばかりに、

必死に何処かで助けが来るのを待ちながら隠れているのかもしれない。

娘の安否に、不安に駆られつつも、諦めず、彼女を捜索し続けた。

 

家と家を挟む裏道を抜けると、そこに噴水のある大広場に辿り着く。

此処では商人が売り場を設けて、客人に商品を売ったり、

若者が音楽で陽気に踊ったりと、憩いの場となっている。

今の状況では、やはり、この場所も酷かった。

広場の地面の至るところに泥で覆われ、噴水には汚水が噴き出てており、

最早、街の人々が気軽に来れる場所という雰囲気では無くなった。

 

 

リックス「くそぉ・・、改めて思うとこれは酷い。 これが帝国軍の野朗がやったのなら、

軍のてっ辺まで行って、喧嘩を売り飛ばしてやる!」

 

 

そう怒号を吐きながらも、広場のところを歩き、橋へと辿り着く。

その橋はエルティナス城へと続いている。

二人は橋の入口の真ん中に立ち、城全体を見上げた。 

城も相変わらずだった。 屋根や壁の殆どが泥まみれになっていた。

 

 

エリーナ「こうなる前は、華やかだったのに・・」

 

 

エリーナは顔を俯き、胸に手を当てた。 

以前、この城に来た出来事を思い浮かべているながら・・。

 

 

「泣かないで!」

 

 

二人の耳が響く程、女性の大声を共に、橋のランプの下にある

鉄製の角型のゴミ箱の蓋が飛び出し、女が出てきた。

 

エリーナ「ぎゃっ! 化け物」

 

???「驚かないでよ! 私だよ! この顔を見たら、分かるよ」

 

エリーナ「えっ?」


エリーナは目を擦り、再びゴミ箱から出てきた女をジッと見つめた。
すると、ハッとした表情でその女性が誰なのか直ぐに思い出した。


エリーナ「あぁ・・、良かった。 リックス、見つけたわ。 この子は王の娘よ!」

 

リックス「へぇ~、驚いたぜ。 この子が、あの王様の娘さんか。
しかし、なんでこんなゴミ箱の中に・・?」

 

王の娘「私をお守りをして頂いた兵士の方々が、魔物に襲われ、
私一人になってしまいました。 だから、魔物から逃れる為に、
ここに隠れたんです。 こんな事をするのは、子供の頃のかくれんぼ以来です。」

 

リックス「( ・・・にしちゃあ、城の前まで戻ってしまうとは。 方向音痴か? ) 」

 

エリーナ「そうなの・・、良かったわ、無事でいてくれて。 でも、ここは危ないわ、
早く、私達と一緒にここを離れるわよ」

 

 


二人は王の娘を連れて、城外へ向かおうとしたその時・・

ザバァーーンという音と共に背後の橋が壊れた。

橋の下から泥水と破片が空高く噴き上げられ、地上へと撒かれていく。

その破片が王の娘へと飛来してきた。

 

 

リックス「あぶねぇ!」

 

 

リックスは王の娘を抱き抱えた後、飛来してきた破片がリックスの背中に当たった。

 

 

王の娘「おじさん、大丈夫!?」

 

リックス「あぁどうって事ないさ! あんなもんは石ころの様なものだぜ。」

 

 

王の娘は自分を守ってくれたリックスに心配そうに声を掛けたが、リックスは何事も無かった様に笑顔で返答した。

その後、リックスの笑顔は冷静の表情へと変わり、壊れた橋の方へ振り向く。

見ると、橋の崖に手が掴んでるところを目にする。

 

崖下に敵が這い上がって来る。 そう感じたリックスとエリーナは咄嗟に武器である剣、

ではなく、チェンソーを構えだす。

 

やがて崖下から這い上がり、姿を現した。 その姿は茶色の泥で覆われた大柄の甲冑の兵士だった。

兜の目の部分を見ると、彼の目が赤く光りだしている事から、何らかの影響により生きた屍だという事は分かる。

 

屍の兵士が3人の目が合うと、「グオオォォ!」という大声を出し、剣を上に上げ、襲い掛かって来た。

リックスとエリーナは威勢を上げ、襲い掛かって来る屍の兵士に向かって走り出した。