ストーリー

 

~ エルティナス街・城門前の橋 ~

 

橋の上で屍の兵士と激闘を繰り広げた二人。

屍の兵士が振る巨大な剣を、リックスがチェンソーで受け止めた。

剣と剣で衝突し合った。 屍の兵士の巨大な剣の重みを利用してリックスを押し倒そうとする。

それに対して、リックスはチェンソーの振動機能で押されつつある巨大な剣に対抗する。

 

十秒ほど、押し合いによる攻防が続いたが、ここで勝機への展開を見せた。

屍の兵士の巨大な剣に亀裂が入ったのである。 どうやら、その剣は汚染された池の泥による影響で、

錆などの劣化が進んだようである。

 

亀裂を見たリックスは気合を入れて、巨大な剣をチェンソーのフルパワー振動で押し上げた。

 

バリィーーーン!!

 

ついに、屍の兵士が持つ巨大な剣が耐え切れず、ガラスが割れた音と同時に粉々に砕け散り、

剣の破片がパラパラと地面へ撒く。

 

リックス「いくぜぇ! おらあぁっ!」

 

リックスは屍の兵士の首全体をチェンソーで斬り払う。

直後、地面に落ちた屍の兵士の頭が転がり、そのまま橋の下へ落下。

ボチョンという音が鳴り、泥の池の底へと沈んで行った。

 

頭部を失った屍の兵士の身体は、力が抜けたかの様に、膝が地面に着き、

膝の上部分が前方へ倒れた。

 

リックス「ふぅ~、派手な登場の割に、アイツの全体が錆だったから、ヌルヌルの戦いだったぜ」

 

エリーナ「えぇ、この戦いで聖剣の使い勝手が良くなったわ」

 

今回の時点で聖剣と認識しているチェンソーを短時間で熟練したのである。

リックスはチェンソーを軽々と、振動状態のまま、振り回した。

 

リックス「よしっ、邪魔になる奴は池に落としたし、さっさとこの子を連れて脱出しようぜ。

ここは悪臭が酷いし、俺の服も汚れてるし、もうウンザリだぜ」

 

エリーナ「えぇ、長居する理由はなさそうね。 帰ったらシャワーでも浴びようかしら」

 

そう言い、二人は広場へと進んで行った。 王の娘も笑顔で彼らに付いて行こうとしたその時…

 

王の娘の背後に、地面から緑色に濁った穴が開き、

そこから泥臭い緑で覆われた手が出てきた。

 

王の娘「キャアアアア!!」

 

エリーナ「何っ!?」

 

悲鳴に驚いた二人は後ろへ振り向いた。 見ると、王の娘が緑の手に背中を掴まれていたのだ。

それを見たエリーナは緑の手を斬ろうとしたが、時既に遅し、王の娘は緑の手に穴の中へ引きずり込まれ、

穴は瞬時に塞がった。

 

エリーナ「そんな…」

 

突然の出来事にエリーナは地面に膝が着いた。

リックスは放心したエリーナを励まそうとした際・・

 

『 この子を返して欲しければ、聖地の北端の湖へ来い 』

 

二人「…!?」

 

何処からか女性の声が聞こえて来た。

 

エリーナ「今、聞こえた?」

 

リックス「あぁ、何処からか女の声がしてきたぜ」

 

それに気づいた二人は周囲を見回すが、

女性らしき人物は見渡らなかった。

だが、今聞こえた女性の囁きで、王の娘が聖地で生きている事が感じ取れた。

 

エリーナ「誰の声か知らないけど、きっとあの子はあそこで囚われているんだわ!

 

エリーナは気を取り戻し、地面から立ち上がった。

 

リックス「とは言え、あそことは言えば湖の事だろ。 でも、湖ってどこにあるんだ?」

 

エリーナ「えっとね、この街の北に聖地があるの。 そこを抜ければ、湖に辿り着く」

 

リックス「成る程、じゃあ一旦広場に戻って、北へ行く道を探そうぜ、と言いたい所だが…」

 

二人は広場の方を振り向いた。 戦闘等の騒音で敵の群れが此方へ近づいてきたのである。

 

リックス「参ったな…」

 

エリーナ「こうなったら、この城に入るしかないわね。

この城には南口の正門と北口の裏門の二つの出入り口があるの、

そこから北へ抜け出せるわ!」

 

リックス「へぇ~、秘密の脱出口みたいだな。 じゃあ、行こうぜ。

こんな状況のお陰で城の見物が出来るって、意外とお得な気分かもな」

 

そう気楽そうに言った後、二人は城の中へと突き進んでいった。

しかし、街中よりも想像絶する汚泥地獄が差し掛かる事を…