~ 聖地 ~
ドラゴン、半身魔導師・クモ型殺人マシンの猛攻を切り抜け、湖の前に辿り着く二人。
湖には湖底から柱やアーチが建ち並んでおり、神秘的であり、
出稼ぎ農民にあるリックスでも輝かしい目で見ていた。
ただ、聖地でも及んでいた事で、湖は濃い緑一色で覆われてしまっている。
水面を見てしまうと、神秘的な光景を台無しになり、目を背けてしまいそうだ。
リックス「結構、先まで行ったな…」
エリーナ「リックス、あそこ!」
エリーナは指を刺し、リックスもその方向へ振り向く。
見ると、向こうの高いアーチ上で王の娘が横たわっていた。
彼女の発見により、二人は救出の為に水面上に建ち並ぶ柱の上を飛び移りながら進んでいく。
ようやく、彼女のとこまで近づいたその時…
ザバアァーーン!!
突然、水面から汚泥を含む水飛沫を空高く噴出、汚泥が二人の下へと飛来。
二人は降り掛かる汚泥に身を浴びてしまったが、腕で顔面を覆っていた為、顔面の付着は免れた。
腕を下ろし、二人の視界が前方に映った時、驚いた表情でうっかりと口を開く。
二人の前には、水色のドレスを着た女性がいた。
驚いたのはそれだけではない。
空中を浮いているのだ。
その女は、二人の方を見詰め、そっと口を開き、話掛けてきた。
水色のドレスの女「ついにここまで来ましたね。 相当な熟練を満たす若き戦士達よ」
リックス「なっ、何だコイツは…?」
エリーナ「貴方は、あの時の…?」
水色のドレスの女「そう、貴方達が聞こえた囁きは私の囁き、
あの子をここに連れ、貴方達を誘い出したのもこの私」
リックス「じゃあだったら、何の為にこんな事をするんだ?」
水色のドレスの女「それはね…、
私を殺す為よ」
エリーナ「えっ…?」
水色のドレスの女「その前に、あの子を岸に移してあげるわ」
そう言うと、水色のドレスの女は王の娘の方へ手を翳した。
すると、王の娘は空中に浮き上がって移動を始め、岸辺まで行くと、その場にゆっくりと下ろした。
リックス「おいおい、それは一体どういう事だ? アンタの自殺願望なんて受け入れっこねーんだが…」
水色のドレスの女「私を殺してっ! でないと…、うっ」
水色のドレスの女は急に苦しみ、顔を下に頷いた。 彼女の異変はそれだけではなかった。
彼女の片手に痙攣しながら突き出し、変色と同時に変形し始める。 やがて、その片手が剣に変わっていった。
エリーナ「一体、貴方は…」
水色のドレスの女「お願い、私を殺して…、でないと、私が狂って被害が…。
フアアアァァァーーー!!!」
理性を失った水色のドレスの女は奇声を上げた。 同時に、水面のあちこちで泥水の柱の形が噴きあがった。
彼女は変異した剣を振り回しながら、リックス達を襲い掛かる。
リックス「くそっコイツは何なんだ? 何としても、あの女を止めなければ!」
エリーナ「( この姿、どこかで見た事があるような… )
応戦するしかないわね…」