やぁ、僕の名前はAS。
・・と言うけど、これはコードネームであって、本名はアルス・フロート。
そして僕の仕事は海兵隊員。 主に宇宙の秩序を保つ活動をやっている。
僕が今まで任務として活動していた中で、現実を背けたくなる光景を何度か目にしてきたんだ。
宇宙海賊による輸送船襲撃、遺跡や過去の文明遺産の破壊や違法発掘、惑星間での内戦や武力での紛争、汚染廃棄物の違法廃棄処分。
幾つかの事例を上げてきたが、本当はそれだけでは無い。
僕が生まれる遠く前から忌々しい出来事は起き続けていたが、最近ではやけに酷くなっているらしい。
このままこの様な状態が続けば最悪、宇宙全体の均衡が崩れていくだろう。
そうなれば、うちの姉さんは黙ってはいられないだろうね。
僕が海兵隊員として入隊したのもこれ等の危険に対抗する自身の戦闘技術を備えや現地での情勢を把握する為である。
でも、心の何処かで見苦しい自分を変えたい気持ちで突き動かしたんだろうなと思う。
任務は危険が付き物というのは承知だし、過酷な訓練を兼ねてきたんだけど、自分が軍人としての扱いを受けてはいない。
やはり自分には出自や身分に関係していた様だ。
その為、海兵隊員である僕は今、書類整理等の事務は都市内の監視による警備という軽い仕事を細々とやっている。
このままじゃ、海兵隊員に入隊した意味が無くなると感じた僕は休暇を取り、うちの姉さんのとこへ相談しに行く事にする。
うちの姉さんの居所はスターフロートシティ、僕の住居から遠く離れたところにあるんだ。
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〜 惑星 X−084 〜
当日、僕はスターフロートシティへ向かう宇宙船に乗っていた。 ところが、宇宙船は航路中で故障を引き起こしてしまい、
航路沿いにあるX−084という惑星に立ち寄る事になった。
X−084は小規模の惑星でそこでは数万人が暮らす小さな植民地と資材置き場がある。
それ以外は黄土色の荒地が広がっているのと、小さな火山があるぐらいだ。
故障した宇宙船は修理に入り、それを済ますにはかなりの時間が要するらしく、出航は早くても明日になる。
その為、僕は仕方なくこの惑星で寝泊りをする事になった。
自分は軍の駐留施設からジープを借り受け、兵士専用の宿泊場所へ向かう。
道中は凸凹とした畦道や急な斜面で道路の状況が悪かった。
幸い、このジープに付くタイヤは地面に落ちている石を押し潰す程の威力を持つ仕様であり、
たまに揺れが大きくなるものの、運転の支障に影響はないようだ。
無事に軍施設の前に辿り着く事が出来た。 この施設は惑星外の異常感知を知らせる為のアンテナを備えた観測所であり、
この惑星の兵士専用の宿泊地として指定がなされている。
僕はジープから降り、入所前の厳重なセキリティチェックを軽く済ませ入所する。
室内番号を記されたカードを手に取った僕は、上階層へ上り、指定の部屋へ辿り着く。
部屋の中に入ると、簡易ベットでありながら、敷布団の方はクッション性が良い。
また、インターネット閲覧可能なテレビパソコンや、冷蔵庫の中に入っている御摘みと飲料、
トイレと風呂は別々にしてある。 ここも、中々充実した設備をしている。
まるでホテルみたいだな。
就寝時間に入り、僕は掛け布団を自分の身体に掛け、ぐっすりと寝込んだ。
明日は朝食を済ませた後、施設から出て宇宙ステーションに入り、後は宇宙船に
スターフロートシティに行き、姉さんに会いに行くだけだ。
明日の予定が易々と行けるようになれば良いなと眼を閉じながらそう思っていた。
しかし、現実はそうは甘くなかったみたいだ。
任務は危険が付き物と承知していた自分が、今までに前例の無い史上最悪の出来事を
目撃するとは思ってもいなかったんだ。 惑星全体が血塗れになるなんて・・・
RED ZONE SPACE
〜 寝室 〜
深夜1時・・、辺りは静まり返っていたと思われていた。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
施設全体に揺れが響き渡る。 僅かな揺れに感じたASは眼を覚めた。
AS「何だ、地震か・・。 この惑星に火山があって、活断層もあるって聞いたんだけど・・。」
ASは再び、眼を閉じかけようとした。
「ギャアアアアアーー!!」
「何だこれは!」
「助けてくれ!!」
突如の施設全体に渡る悲鳴にASはベットから飛び起きた。
ASは 何だ? と思いながらも、透かさず、テーブルの上に置いてあった
兵士の服装に着替え、颯爽とした表情で部屋に出て行った。
この後、思わぬ光景を目にする事になる。