怪物の親玉が再度、醜態な姿を晒して彼等の目の前に現れた。

頭部からの謎の生命体の放出、身体能力の向上による強化で二人は苦戦を受けるものの、

猛攻や機転で戦況を変わり、最終的には怪物の親玉に向けて何百発のパルスガンの弾を撃ち込んだ。

深手を負った怪物の親玉は意識が朦朧となりながら後退りをする。

ASはある事に気づく、怪物の親玉の後ろの足場が途切れている事に。

好機と捉えたASは、親玉に近づきタックル技でぶつけさせる。

 

 

「グオオオオォォーーーーーー!!!」

 

 

怪物の親玉は唸り声を上げながら落下し、そのまま下の地面へ落下、親玉の肉体は衝撃で一気にバラバラになった。

その後、バラバラになった怪物の亡骸には多量の血が湧き出し、それが地面の周りに広がっていく。

 

 

二人は足場の下を覗き混み、怪物の親玉の生死を確認。 死亡したと判断すると、二人はお互いに手と手でタッチし合う。

意気投合のよりさらなる脅威に打ち勝った証とも言えよう。

その後、二人は小型宇宙飛行艇に乗り込み、操縦席へ座り込む。 ASの操作で飛行艇を起動する。

機体が浮遊し、方向を出口に向けると急発進し、発着場から抜け出した。

 

 

二人が乗る飛行艇は惑星から徐々に離れていき、やがて大気圏外を経て宇宙空間へ辿り着く。

 

 

この時点で、惑星X−084からの脱出に成功したのである。

 

 

 

 

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・・・惑星から脱出して数十分後、操縦席にいる二人は脱出の為の戦いで疲労感が漂っていた。

青帽子の少年は指で帽子を下に傾けながら、ASにあの惑星の植民地の行方を問いだす。

 

ASは率直に返答した。 X−084に点在する植民地は異常事態が起き、深刻な状態が続くと場合によっては軍の爆撃を行うという事だ。

もし逃げ遅れたらどうなっていたのだろうか? そう不安にとり憑かれていたが、生還した身である事を踏まえ直ぐに取り払った。

 

 

青帽子の少年「この後、俺をどうするつもりだ?」

 

 

AS「そりゃあ、君がいた所へ帰すよ。 但し君はこの記憶から消さなければならない。

これは規定で定められているんだ」

 

 

青帽子の少年「消されるのか・・・」

 

 

青帽子の少年はゆったりとした態勢を取り、視点が上方に向く。 少年はこう考える。

やはり、全く知らない世界の人間に関わらない方が良いのかもしれない。

それに、怪物という忌々しい記憶が消失され元の平凡な学生生活に戻れるなら気分が軽くなるからそれでいいと・・・

 

 

AS「おっ、救助艇だ。 これで助かったもんだ。」

 

 

前方を見ると小型の宇宙飛行艇が此方へ近づいてきた。 それがASの言う、救助艇だ。

ASは機内にあった救難信号の装置を作動させ、救助を要請したのである。

その後、二人は救助艇に乗り移り脱出に使われた宇宙飛行艇を後にした。

 

 

 

 

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常に平穏を保ち続けていた小規模惑星X−084は突如、何処からともなく出没した怪物の群れにより、

惑星全体が奴等に覆いつくされてしまった。

突然の事態に恐怖した人々は宇宙へと避難したが、逃げ遅れた者、抵抗した軍の海兵隊、

惑星に残っていた一部の人々は怪物に襲われ、餌として喰われるか、殺傷済みの遺体を巣窟へと運び保存食にされた。

 

血と絶望に塗れる中、二人の男がこの脅威を掻い潜り惑星から抜け出す事が出来たのである。

さらに群れの頂点とも言える怪物の親玉を彼等の手で葬らせた。

 

二人の脱出後、怪物だけの星になったX−084は間もなく駆けつけた軍により、

植民地を中心に爆撃作戦を行われたのである。

その後、全滅が確認された時点で軍の調査隊が派遣されるという。

 

今思うと、あの怪物共は一体何だったのだろうか? そして何処から這い出して来たのだろうか?

あの惑星で幾つかの謎を残したまま、この事件は終結した。

 

そしてASと共に戦った青帽子の少年は軍の規定によりあの時の顛末の記憶を削除、

彼が暮らしていた元の星へ送還された。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

あれから一年が過ぎたみたいだ。

 

 

この経験から、一部から地獄から生還した男といわれる程にまで知らしめた。 僕の実力とサバイバル精神がこれだけ極めていたとはね。

しかしね、うちの姉さんや軍の上層部はヒヤヒヤしていたらしい。

今でも海兵隊員として活動しているけど、仕事は普段と同じで何も変わらなかった。

他に何かが変わっているとすれば唯一つ、うちの姉さんがいるスターフロートシティに移り住んだぐらいだ。

 

周囲から危機を晒されたくないから、危険な任務をさせたくないのだろう。

でも、僕の信念は変わらない。 これからも軍人として認められる様、何かとやっていくつもりだ。

 

さて、僕の話の中に"うちの姉さん"と言っているよね。

姉さんの名前はキロル・フロートと言って、殆どの宇宙を統括する女王様。

そして僕は弟で王子。 いつも姉さんを尊敬している。

 

 

 

 

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海兵隊員として勤務していた僕は一時休職、王子としの仕事に切り替える。

惑星X−084で起きた事件の真相解明に向けた取組みを始めるつもりだ。

王位レベルでやるのだから、物事を難なく進んでいくだろうと思っていた。

 

 

しかしその矢先、黒いスーツを着た男が街の危機を

貶めに来るなんて思ってもいなかったんだ。

 

 

 

 

REDZONE SPACE

 

THE END

 

 

 

 

 

その前にこれだけは言っておく。 青帽子の少年の事だけど、色々興味深い。

王子という権限を使って軍の規定を無効させた。 即ち、記憶は消去されていない訳だ。

僕はまた会える日が来ると思っているんだ。

 

 

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