~ 市中央・幹線道路 ~
その男が急遽向かったのはヒレッジニュータウンだった。 この街は武装勢力が入り込んでいるにも関わらずにだ。
街の中心部に近づき始めたところで,男が乗る車は減速し,歩道の上に乗り上げ,そこで止めた。
その男は車から降りる。 どうやら自分の車が武装勢力にスクラップされるのは嫌っているのだろう。
被害のない場所で止めるのは最適である。
その男は何故,よりによってこの物騒なヒレッジニュータウンに足を踏み入れたのだろうか?
自分の車を離れ,徒歩で街中の方へ向かって行く。
…とそこに,前方に複数の人達がいた。
その姿は全員,ヘルメットを被り,灰色の作業服を身に付けている。
そんな彼等は道路上をフラフラと歩き回っている。 まるで泥酔しているかの様だ。
声を掛けようか? そう思った瞬間,彼等の顔が自分の方へ振り向いた。
男は彼らの顔面を見て驚愕した。
青白い肌をした顔面。 何という事,まさに人間とは思えない酷い風貌だ。
目の部分が赤いレンズのゴーグルが付けられて,目の奥が見えない。
しかし,人間の姿をした化け物の素顔なぞ想像したくもない。
彼等が男を見た。 その後…
「殺せ! 殺せ! 目の前にいる奴を殺せ」
彼等は持っていた鉄パイプでその男に襲い掛かかる。
彼等,…いや奴等の殺意は尋常じゃない。
奴等に襲われ絶体絶命の男,だが,その状況は一瞬で変わる。
何も持っていない素手で奴等に拳を与えたのである。
奴等は男の素手の技により自滅したのである。
その男は強かった。 いやっ 強過ぎと言ったところか…
さて,ここでその男の紹介をするとしよう。
彼の名は正男…
凶暴な猛獣やペットモンの対処を専門とした駆除業者である。
民間人でありながら,超人並の力を持つ。
また弟がいるが真偽は不明。
そんな彼は今,街の中心部に向かって走って行った。 この荒れ狂う状況の中を…