駅前での戦いを終えた後、正男は守と合流、警察車両に乗り込み次の現場へ向かっていた。
正男「…俺が何度も此処来る度に色々思うとこがあった。」
守「何を思ったんだ?」
正男「此処だよ」
指を下に向けて返答する正男に、守はその短い言語と言質からヒレッジニュータウンの事だと解釈した。
警察車両の中で正男はこの街に少々疑問を抱いていたようだ。
正男「こんな遠く離れた未開の地で自治体と民間企業を巻き込んで大掛かりで街を作った。
人口の分散の為と言われているが、俺みたいに若者が魅力的に見られなければ、
いくらサービスを厚くしたり働く場所があったって、結局はそっぽ向かれると思うんだ。
あくまで俺の持論だが…」
守「ふむ…、まぁ他のニュータウンだと衰退した例があるな。
若者は歓楽街や娯楽地といった心を擽るものをを好む」
正男「リスクを負ってまで作る理由は何だろうな…? 利権や投資目的か…?」
守「俺は警備のアドバイザーで来たばかりだから裏側については俺も正直分からない」
正男「当人のみぞ知るってか…」
機動隊「リーダー! まもなく現場に到着します」
守「あぁ分かった! 正男、今回の作戦では君に相応しいルートを用意した。
着いたら、俺の後を付いて来てくれ」
正男「そうか、アドバイザーのアンタを頼りにしているぜ」
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テクロノジービルディング…
ニュータウンの西側、川を越えた先にある民間企業所有の広大な敷地に建てられたビルの事である。
鉄筋コンクリートで建物の面積が広く、白い外壁で清潔感が溢れる造りになっている。
雑草が生い茂る空地が多い中でポツンと建てられた建物の内部では高度な実験や研究が行われている。
また、日々の業務で得られたビッグデータをビル内部のデータセンターの巨大サーバーの保管しているという。
世間の関心は薄いが、企業や社会において最先端技術の拠点としてニュータウンに構えているのだ。
この地に雇用が生まれる筈だったこのビルで破壊と殺戮を生きがいとする集団の魔牙に掛かっていたのだ。
敷地外では大勢の警備隊や機動隊が門の外で待機していた。
内部は把握してはいないが、武装集団が制圧しているのは確かだ。
正男「中に人がいるのだろうか…?」
守「人質の解放を求めたが、奴らの反応は無かった」
正男「絶望的だな。 あの鉱山のようにまた悲劇が起こるのか…。
トラウマになりそうだが、行くしかない」
正男と守は建物の傍に回り込んでいた。
敵の気配の有無を確認しつつ、勘づかれないように非常用階段など使って屋上へ昇る。
屋上に着いた二人。 周囲を見渡すと建物内部へ続く屋上入口を見つける。
正男「あそこから入るというのか…?」
守「いやっ 下を見てくれ、蓋があるだろ?」
指さした方向には大きめの蓋があった。 その蓋を開けると、内部へ繋がっていた。
守「ここで二手に別れよう。 君はこの穴に入り、敵を減らしてくれ」
正男「あぁ分かった。 幸運を…」