ストーリー



敵の残骸が入れ込まれたカプセルが並んだ長い通路を
その場所で待ち構える大勢の敵を倒しながら進む。

長い通路を抜け出し、辿り着いたのが広大な広場。
先へ続く道が無く、ここで行き止まりのようだ。

周辺を見ると、巨大な筒に透明のガラス。
ガラスの奥に不気味な色の電撃が流れている。

奇妙な空間で立ち尽くす正男。


正男「まるで招かれているような気もするな…」


だが広大な広場には誰もいない。
行き止まりのところで立っても仕方ない。
来た道を引き返そうと、振りむこうとしたその時…



???「誰にも知らない街の裏側を見てどうだった?」


後ろから声がした。
正男はゆっくりと振り向いた。
目の前には黒い帽子に黒いコートの男が此方へ近づいてきた。

どこかで見た事があったような…?

正男は身体に電撃が突っ走るような感覚で思い出した。
夜の公園で気さくな態度で語り掛けて来たあの男だ。


黒服の男(???)「こんな不気味なとこで再会。 まさしく奇遇とも言うべきか」

正男「何故、公園で知り合ったアンタがここに…?」

黒服の男「既に感づいるなら問い掛ける必要もない筈だ。 
まぁここに来て信じられないものがバンバン出て来たもんだから、
落ち着いてはいられないのは当然だ」


男が口を閉じ、間髪を入れた後、再び口を開く。


黒服の男「俺はダークゼイター。 創造物を作り、逝かれた者を束ねる男だ」


何てことだ…。 初対面ではなかった。
何気になく俺に難しい事を語り掛けた男が
ヒレッジニュータウンの惨劇の黒幕とは…。



ダークゼイター(黒服の男)「俺がここに来た理由…、単刀直入に言うと…。 
うん、あれだ。 

俺を怒らせたからだ」


単純過ぎて、理解が追い付かない。


ダークゼイター「流石に転がってしまうか。 まぁ少しずつ説明しておこう。 まぁ先ずはそこの椅子でも座ってくれ」


ゼイターが指を鳴らした瞬間。
二人の背後に大理石のブロックが出現した。
ゼイターの技なのか…?

正男は椅子扱いにされている大理石のブロックに座った。
それに続きゼイターも座る。

ゼイターの談話が始まった。


ダークゼイター「ヒレッジニュータウンは知っているよな。
地方政府と企業が作った法人とかに金を出して、この地に街を作った。

表向きはな…。

その中の一部の馬鹿共が上の連中に誑かして、予算を余分に増やした。
その分をこの秘密基地を作ったのだ。

その根城を基に、異次元へ移動する技術を使った。 この世界にそんな物があるなんて俺もビックリだ。
まぁそれはさておき…、俺の"家"にやって来た奴らは、

俺が居留守の間に土足を踏み込んだ挙句、

俺の創造物や技術品をぱくったんだ。

なぁ正男…、泥棒はいけないよな。 …いけないよな」


公金で働いている一部の連中の犯罪行為を聞いた正男。
泥棒はいけないというゼイターの戒め言葉にうっかり頷く。


ダークゼイター「子供でも分かる悪い事をする奴らは法律で裁くべきだと世間は考える。
…だが、俺はどうだ? 俺は人間ではないが、神でもない。 

どちらでもない俺は奴らに血を流さなければいかんのだ。

長い間、俺は血祭騒ぎを起こす気は無かったがな…、
公金を貰いながら馬鹿をする奴らのお陰で久しぶりに心に火が灯った。

それで俺が動き出した。 
俺は最恐と言える創造物をパパっと作りながら、
事前にこの世界や組織、社会の事を調べ、
それを基に扇動させる術を立てた。

あらゆる情報を精査して実行。 その結果は正男も分かっている事だろう?

あの時、公園で会った俺はお前に立ち去った方が良いと忠告した筈だ。
真実を知ったら、何のために戦っているのか自制が出来なくなるかもしれない。
俺なりの気づかいだ。

でもお前は来てしまった。 何か役に立とうと…。

俺はお前を真面目故に哀しく見える。
何せ、此処を見るまで何の為にもならない戦いをしてしまったからな。

まぁ、真面目な事は評価してやろう。
…でも、分かって欲しい事がある。 時には正直者は馬鹿を見る。

俺が作った創造物を撃退する力を持っても、こんなドロドロの闇を切り裂く力はない。
要するに時には報われないって事だ。

正男よ…、歴史は血を流す事で変わるのだ。
その正直さを捨てて、俺に見たいな考えを持って血を流してみるのはどうだ?
俺も喜んで協力してやるよ」


ダークゼイターは心地よさそうな表情で手を差し伸べて来た。


正男「ダークゼイター、ありがとう。 この街の裏側を教えてくれてさ…。
でもよ…、俺と共に戦った皆や市民はどうなんだ!?
理由はどうであれ、犠牲なんて必要なかった。
この街で起きた悲鳴を俺は今でも覚えている…」

ダークゼイター「民主主義みたいな方法で時間を掛けて裁いていくが、俺は血で暴力で裁く。
お前とは感性や常識、価値観も違うし、情や義もない。 

歴史は血を流してこそ起きる。 …そういう事だ」


その瞬間、正男はゼイターの顔に拳で殴りつけた。
だが、ゼイターは正男の拳を受け止める。


ダークゼイター「…どうやら、それが答えのようだな。 報われない現実を知り悶える道を…」

正男「勘違いするなゼイター。 俺はお前のやり方には沿わない。
どんな事があっても、死んでしまった人達の為に俺は戦い続ける!」

ダークゼイター「ほぅ…、心が太いなぁ。 仕方ない。
今のお前は、俺の行いの前に立ちふさがる障壁そのもの。 

消え去るしかない!」


ダークゼイターは大理石の椅子を横に蹴り飛ばすと、後方へ大きくバック転をした。
落ち着いている印象だが、正男の目から殺意が見える。


ダークゼイター「正男…、お前は残念な男だ」

正男「言われても構わない…、俺は信じた道を進むだけだ!」