ウガアアアーー!!
上に向けて,怪獣みたいに唸り声を吐き散らしながら,鉈をやみくもに振り回す。
正男はその鉈がどの方向に向けて振り落とすのか分かっていた。
鉈を振り落とす直前に正男はスライティングで大男の股下を潜り抜ける。
大男がそれに気付き,後ろへ振り向いた瞬間
ザク!!
正男の拳が大男の胴体の内部へ突き刺す! ナイフの様に…
大男はもがき苦しんだ。 だが,これが正男の怒りの一撃では無かった。
ドオオオォーーン!!!
正男の技が発動.大男の上半身が爆発によって粉砕,
飛散した肉片や血飛沫が段ボール箱や床,天井などに付着する。
残された大男の下半身は後ろへよろめいた後,床に倒れ込んだ。
強敵を倒した正男であったが,失われた市民の命は二度と帰っては来ない。
目的を果たすと,直ぐにその場から無言で立ち去って行った。
各地で同じ事が起きている以上,彼に休息なぞ有り得ない。
この様な悲劇を出さない為にも…
そんな空しい彼の姿を,
積まれた段ボールの陰で眺めている者がいた!
その者はビルの屋上にいた迷彩柄を纏った男であり,彼の後を付けに来ていたのだ。
当然,ここでの悲劇を目視しており,心の中で微笑んでいた。