広場の上空で飛び惑う悪魔に見立てた怪物を正男が電気を纏う炎の様な波動弾で応戦する。

しかし正男が放つ技が装甲車を破壊する程強力なものであっても、

怪物の素早い動きを捉える事が出来ず外れ弾ばかりだ。

そんな彼のイラつく顔を見た怪物はケラケラと笑い飛ばした。

 

 

「ケケケ・・・、ソロソロキョウフヲアタエヨウカ」

 

 

技の一発を避けた後、怪物は正男に向けて猛高速で突っ切って行く。

怪物の強襲に正男は避けようとするが時既に遅し、怪物の足が正男の両肩を掴まれる。

 

「うおおおぉーーっ!!」

 

捕まれた正男は怪物に持ち上げられ、三秒も立たずに夜空を舞う。

 

 

「ドウダ! ワレラ"ジーディーエー"ノチカラヲオモイシッタカ!」

 

「うるせぇ! てめぇらの力なんぞ知るか!」

 

 

この時も正男は恐れなかった。 

彼は身体を後方に引いた後、勢いよく身体を曲げるようにして蹴り上げる。

 

 

「ゲェ!」

 

 

蹴り上げた反動で怪物の足から離れた正男は空中で回転して後、

怪物に向けて一直線に飛び蹴りをする。

 

 

「グワアーッ!!」

 

 

彼の飛び蹴りが怪物の顔面に直撃。 

激痛を感じた怪物は顔を両手で抑えだす。

苦しみながら徐々に降下していく怪物を、正男は下へ落ちながらも片手で狙い付ける。

 

 

「俺を馬鹿にした仕返しだ!」

 

 

そして、片手から波動弾を発射!

 

 

「ギェフッ!」

 

 

彼の技は怪物の頭部に命中。 頭部が粉砕し、身体全体が彼の技で燃え上がる。

頭部を失い炎上した怪物の亡骸が広場の固い地面に直撃、地面がクレーターになるのと同時に

亡骸が粉砕し破片が四方へと分散した。

 

怪物を倒した正男はそのまま湖に落ちたのである。

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

 

 

 

湖から這い上がった後、再び広場へと戻る正男。

ずぶ濡れになった正男は片腕で額に垂れる雫を拭い取る。

 

 

「くそっ イカれた奴を束ねる奴は化け物ばかりか!?」

 

 

悪魔のような怪物の亡骸の肉片を見て死滅した事を確認した後、

正男は愚痴りながらも広場から立ち去ろうとした。

 

 

そんな風に見られたら困るんだけどなぁ、赤帽子さんよ!

 

「!?」

 

 

自分に敵意を向ける存在の声に気付いた正男は声のした方へ振り向いた。

見ると、広場の外の樹林が斬撃のような何かで斬られ、ザザザザと音を立てながら倒れていた。

木々を薙ぎ倒した場所から、

片手に巨大なカッターナイフの様な鋭い物、両肩に装着した砲身の大きい銃器、

緑色の服装を纏った男の姿を現した。

 

その男の粗暴振りを捉えた正男は

武装集団側の者であると直ぐに分かった。

 

 

「貴様が逝かれた奴等の仲間か?」

 

「おいおい、逝かれた奴と呼ぶなよ。 俺はテメェの様な

能天気な奴等よりも崇高で優良な集団の上に立つ者なんだぜ 」

 

「じゃあ"束ねている"って訳だな。 早速だが、お前らの目的は何だ?」

 

「なぁにって? んなもん俺達は趣味で殺戮と破壊をやってるんだよ!」

 

「何だと? 人の命を何だと思っ・・」

 

うるせぇ野郎だな。 全く、この世界の"平和"という名の妄想みたいな何かで

頭の中がお花畑みたいになったボケ共なんぞ、無邪気なクソガキに

踏まれるひ弱な害虫と同然なものよ! 」

 

 

そう言うと、男は笑いながら

片手に持っていたワインボトルを口に付けて、ボトルの中身を飲み始める。

 

 

てめぇ・・・、この野朗っ!!

 

 

ヒレッジニュータウンの人々を過激な侮辱発言で我を失った正男はその男に殴りかかる。

男は襲い掛かって来る正男を避けないどころかワインボトルを投げ捨て、服の懐からライターを取り出し口元に近づける。

その状態で正男に向け、口からボトルの中身をブゥーっと噴き出した。 すると・・・

 

 

ボウゥッ!!

 

 

ライターの火に当たったボトルの中身の水分が発火した。 

その燃え上がる炎が正男に噴きかかる。

 

 

「うおっ!」

 

 

正男は急ブレーキを掛けたが、反動で地面に尻餅が付いた。

 

 

ギャハハハハ!!

 

 

正男のあっけない姿を見た男は高笑いし、片手で腹を抑える。

 

 

「てめぇ! 一体何を吐き出した?」

 

「何ってこれか? あぁガソリンさ!

しかも何とハイオクという衝撃のオマケ付きさ!

 

「くそっ 何もかも逝かれてやがる」

 

「ククク・・・、まぁ今回はこの位にしてやるぜ。 今回は挨拶って言ったところだ」

 

 

その男は笑い終えると、正男に背を向け歩き出す。

 

 

「お前だけ特別に教えてやろう。

俺の名はレックス・ウィリアム。 この集団を指揮する司令官的な立場にある。

赤帽子さんよ、次に顔を合わす時は楽しみにしているぜ!」

 

 

レックス・ウィリアム・・・ 連中の上に立つ男は広場の外へと去って行った。

そんな凶暴な男を正男は静かに見送る事しか出来なかった。

 

 

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