~ メモリアルパーク ~




正男「ランチャーを飛ばす奴より厄介だこれ!」




蒼いヘルメットと青白い炎を纏う強靭の肉体。
それが正男が霊園で対峙する科学を超越したような生命体。




八の字を描きながら空を舞い、蒼白い炎の玉で正男に目掛けてストレートに投げ飛ばす。
正男は得意のファイアーボールで応戦する。
しかし、彼の微妙な球速と空気抵抗の摩擦、生命体の俊敏なる動きが
思うような反撃を与えさせない。




正男「最近の仕事でなまってしまったか…」




彼の職業は凶暴な猛獣やペットモンを退治する駆除業者だが、副業の一つとして
生物の保護区域の入場ゲートの受付兼事務長を務めている。
近況では徹底した猛獣対策により出没件数が少々ながら減少している。
その為、身体の運動が少ない事務の仕事に傾き始めていたのだ。




正男「こんな事でへたばって… うぉっ!」




不意を突かれてしまった。 
彼の足先で蒼白いの炎の玉が着弾。
その衝撃で正男は後方へ吹き飛んでしまう。




正男「いてぇぇ…」




名前の刻んでいない細長い墓石に背中からぶつかった。
同時に墓石にひび割が入り、やがて崩れ落ちる。




正男「眠ってたら申し訳ないか…」




墓石の事を思いながら立ち上がり、視線を敵に向けた。




正男「大胆な技の前触れか?」




生命体の周りに複数の蒼白い炎が円を描くように猛高速で回転。
まるで時計のようだ。
このグルグルグルンの炎の大車輪が生命体の必殺技なのか…?




戦闘のプロフェッショナルの彼の予想は当たった。
炎の大車輪が広がり始め、正男に目掛けて斜めに降下する。




技の威力が凄まじかった。
広がった大車輪が墓石や地面を砕き、草木が風圧で荒れながら焼き尽くす。





だが、広がった円はデカくなったフラワープだ。
技の致命的な欠陥を瞬時に見抜いた正男は水平空中ダッシュで大車輪を潜り抜けた。





正男「頭の回転は訛っていないな…。 むっ あれはもしやっ!」




正男は生命体の姿を見た。 
身を纏っていた蒼白い炎が消えていた。
今の姿は鉄で出来た骨の頭部と胴体。 
胴体の中の心臓と思しき部分に装置が埋まっている。




生命体の本当の姿は、見た目による考察ではあるが
両脚と両手の無い人間型の全身機械体だった。




暫くすると装置に熱気が帯び、生命体の周りに例の炎が発火、生じ始める。




正男「成程、それが奴のカラクリ! お化けかぶれに次の手無しぃぃ!




装置を見て弱点であると確信すると、
正男は壊れた細長い墓石を持ち上げ槍のように投げ飛ばした。
勝機を見出した彼の投力は野球選手顔負け。




蒼白い生命体「グガアアアァァ!!




正男が投げた墓石が、生命体の胴体を貫き、中にある装置に当てた。




蒼白い生命体「グオオオオォォォ!!




生命体は胴体と頭部に火花を散らしながら落下。
落ちてきた角缶のような音を立てながら地面に激突し、
そのまま正男の方へ転がった。





正男「奴らは妙なものも作るんだな」




目下にあるのは焼き焦げた生命体。
最早、動きだけの力は残されてはいないであろう。
それでも正男は念の為、指先から必殺技の一つ フレイサンダーを放った。
生命体は粉砕、破片は周囲に散らばった。




正男「これで良しだ。 仲間に連絡すっか…」




強敵の戦いを終えた正男、次の戦地へ向かうべく霊園を後にした。



 

 

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