狂人が手にする放射器からあらゆる物を焼き尽くす業火の炎を撒き散らす。
応戦するものの、サーバールームという移動範囲が限られた空間に予測不能の動き、攻撃範囲の広さ。
不利な条件が重なって思うように事が上手くいかない。


正男「くそっ、思ったより不運だぜ。 こんなとこで厄介な奴に厄介な武器をかますとは…」

守「正男でも苦手なとこがあったか」

正男「情けない所を見られたな…、喫緊の課題だぜ」

守「こういう時は俺の底力の見せ所だな」

正男「名案か?」

守「大したことない簡単な方法だ」


守は最適なプランを数十秒で説明、正男はその案に乗っかる。


正男「そうだな、ここは俺と守がいるしな」


その後、守は狂人の前に立った。
アサルトライフルを狂人に向けて威嚇した。


守「動くな! それ以上暴れると容赦しないぞ」

狂人「あぁん! やられ役が出しゃばるんじゃねぇ!!」


警察に舐められた狂人は怒り狂い火炎放射器を守に目掛けて勢いよく放射する。
それを守は能力で光の円盤を出現させ攻撃を受け止める。


狂人「うんぐおおおおおおぉぉああぁぁ!!


奇声を上げながら光の円盤を壊そうと必死に出力上げて行く。
しかし、守に集中したせいか背後に正男が近づいている事に気づかなかった。


正男「おいっ! イカレ野郎」

狂人「むっ!」


振り向いた瞬間、目の前には掌が迫っていた。


ガッ!!


狂人「ぐおおぉっ!」


正男が放った掌底打ちが片目に直撃された。


狂人「このクサレ赤野郎がああぁぁあ!!


片目を負傷して怒りのボルテージを最大限に溜まった狂人は大声を上げ見境なく火を噴かす。
正男は咄嗟の判断で傍に備え付けてあった消火器を手の取り、狂人に向けて思いっきり転がした。

我を失った狂人に転がってくる消火器に気づかない。 
そして、足で踏んづけ圧力で消火器の中身が爆発。


狂人「うおっ! ぎゃああああああ!!


消火器の破裂に驚いた狂人は放射したまま背中から転倒。
放射した炎が天井に跳ね返り、そのまま狂人に直撃。



ドオオオォーーーン!!


背中のガスタンクが火炎の熱に耐え切れず大爆発を起こした。
自ら持つ恐るべき兵器に遣られるという因縁応報とも言うべき最後。
その姿を見届けた正男達は爆風から逃れる為、サーバールームの外へ飛び出した。

間一髪、一歩遅ければ正男達もバーベキューになっていた。


正男「ふぅ…、大丈夫か?」

守「この位、平気だ。 正男、今回もよくやった」


戦い辛い相手を協力して勝利を迎えた二人。
テクノロジービルディングの奪還は完了する。










暴動が起こる半月程前…


暴徒の襲来で正男と室長が立場が異なりながら、
守よりも素早い動きで対処してから奇妙な関係を作った。

正男はこの日もヒレッジニュータウンに来ていた。
車で木々に挟まれた丘を登り、とある建物に着く。
その建物はニュータウン内の唯一の高級ホテルであり、STAGE2の舞台でもあった
彼が此処に来たのは仕事ではなくある人物から呼ばれたからであった。

ホテルのロビーは豪華なシャンデリアで明るく灯されていた。
周りを見回しても人の気配は僅かだ。 
従業員が数名いる位か。
正男にとっては人が少ない方が良い。 
心が落ち着くからだ。

ロビーの中を歩き、喫茶室に入った。


室長「やぁ、よく来たね」


喫茶室に室長が窓側の席でお出迎えだ。
あれ程、自分にきつい態度を示していた室長が招待されているという意外な展開。
正男は室長のいるテーブルの向こう側で席につく。


正男「室長、アンタは変わったな。 感謝と謝罪を伝えたいって…」

室長「色々考えたんだ。 最近、俺は目まぐるしい事をして気がおかしくなっていたようだ。
その事について謝りたい」

正男「別に良いよ、俺も薄々感じていた」

室長「ふっ、他の人とは違うな。 強いだけでなく人を見る目がある。
君には名前を言ってなかった。 俺はフジヤマだ」


フジヤマ…、彼は大手企業の地方部から都市開発機構に出向した社員。
学歴に優れ企業内で幹部にまで昇り詰めたやり手の男だ、
彼には家族として、政治家の妻に一人娘がいる。

そんな彼にも子供の頃から射撃に興味を抱き、現在は趣味となっている。
その腕前がクレー射撃の大会で何度も入賞した事もあるとか。


フジヤマ(室長)「正男は冷静だ。 あの時、俺が軽蔑しても冷静に捉えていた。
俺とは正反対だ…」


華やかそうに見えるが、地方の行方を左右するプロジェクトという重責を担っており、
また各地でテロ活動といった不穏な事態の対処など業務が山積しており、
降りかかる多重多難が彼の精神に少しずつ乱れていったという。


フジヤマ「真面目に勉学を臨み、社会人としての責務をしっかりと真っ当すれば報われると思っていた。
しかし現実は甘くない。 目まぐるしい状況の中で苛まれながらこの日に至っている。
…だが正男は違う。 何せ、君は社会に囚われないありのままの生き方をしているからな…」

正男「いやぁ…、俺も業者として危険と隣り合わせしているしな…」

フジヤマ「でも君は輝かしく見える。 俺もいつか君のような生き方を模索したいものだ…」


正男は意外にもヒレッジニュータウンで友人が出来ていたのである。




回想、終了…




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