ジェルダム「四天王にヘマをくらってたと聞いて衰えていると思っていたが、互角の腕前だな」

デイル「昔も今も磨き続けているぞ!」


街の外で戦闘を続けていたが、ジェルダムの後方に援軍がやって来た。


デイル「増援か…、だが怯むわけには」

ジェルダム「ふぅ…」


ジェルダムは攻撃を止めた。


デイル「えっ?」

ジェルダム「この辺で切り上げておこう。 これはお前を追い払う為の戦いだからな。 
うっかりお前の命を失えば、大勢の仲間が俺たちを全力で潰しに掛る」

デイル「ジェルダムにとって得策ではない…? じゃあ何故、俺の敵になる?」

ジェルダム「お前では解決出来ない理由に聞かない方がいいぜ。 デイルに打たれる可能性があっても俺は敵として貫く。 じゃあな」



ジェルダムは援軍と共にデイルの前から去って行った。






ジェルダムの追走を終え、ヴェルファイアに戻ったデイル。 
マシュリンやその仲間達と共に、謎の軍団(ゼイターが放った)による襲撃戦の後処理に追われていた。


仲間1「全く、街はえらい酷いもんだよ」

仲間2「帝国軍が掌を返したのかねぇ…」

デイル「目前の出来事だけ判断するんじゃないぞ。 これは誰かが装っているかもしれん」

ルルン「ちょっといいデイル? フレイム国から将軍がやって来たよ

マシュリン「あの男が…? 面倒なのが来たわね」

デイル「だが、仕事は早いのは確かだ」


その最中、ヴェルフォルニアの急襲に聞きつけ、
フレイム国から獰猛そうな雰囲気が漂う甲冑を纏う男が大隊を引き連れてやって来た。

その男の名はグランド。 
フレイム国の豪腕揃いの重騎士達を束ねる将軍の一人である。

デイルとは先ほどの戦後処理の会議で立ち会う前から面識がある。


デイル「やぁ、グランドさん。 魔法の国へお越し頂き感謝を…」

グランド「前置きは良い!


張りのある強い口調でデイルの感謝を跳ね除け、
マシュリンやルルン、その仲間達の心を震わせる。


グランド「全く、ここは酷い有様だな。 やはり帝国軍は俺たちを欺いたと見るべきだな」

ルルン「違うよ。 僕はゼロスを追ったけど、あれは偽者だったよ」


ヴェルフォルニアを襲った偽ゼロスをルルンが戦った。
カタゴトで話す偽ゼロスでは本物を遠く及ばず、ルルンでも撃退、破壊させた。
その事はデイルやマシュリン、仲間達に伝わっている。


デイル「私も確認しました。 
今のところ、帝国軍である事は確信を持てません。 
グランドさん、証拠がありますので見に行きませんか?」

グランド「・・・・・、じゃあ見せてもらおうではないか」






偽ゼロスを倒した場所を案内するデイル。

偽ゼロスはルルンに止めをさされ落下、地面に激突した。
衝撃で身体が割れ、中から機械の部品やコードが飛び出していた。
偽者である事は明らかである筈だが…。


グランド「これは一体何だ…?」


偽ゼロスの身体から出て来た機械の部品に注目する。


デイル「私でも何と言えば…」

マシュリン「機械って言うのよ」

デイル「はぁ…」

グランド「貴様らは自信づいているようだが、これで確固たる証拠と言えるのか? 
帝国軍がゼロスの代わりとして送り出し貴様らを攪乱させたのかもしれんぞ?


デイル「帝国軍じゃないのかもしれません」

グランド「ほうっ 手がかりがあるのか?」

デイル「それはまだ…」

グランド「ふんっ、どうやら共存とかなまったるい考えを抱いてしまったようだな。
まぁいい、これから手がかりを探そうとするのだろう。 時間ぐらい与えてやる」

マシュリン「あんた!」

デイル「マシュリン、下がれ。 ありがとうございます」


自分達を軽蔑する態度に苛立つマシュリンだったが、デイルが引き留めグランドに頭を下げる。


グランド「俺の用は無かったようだな。 フレイム国に戻る。 おいっ! そこの女」

マシュリン「私っ?」

グランド「機械って言ったか…? 
魔法の国の住民が奇妙な言葉を飛び出すとはな。 
どこで覚えた?」

マシュリン「フン…、答えた何になるつもり?」

グランド「答える気なしか…」


ここに用がなくなると、大隊を指揮し、デイル達から離れて行く。


ルルン「ほんとっ、嫌な人だよ」

デイル「ルルン、奴はかなりの実力の持ち主だ。 不満は胸の内にしまっておこう」






その一方、ジェルダムは…。


部下1「グランドが街から去ったようです」


丘の上からグランドの軍勢がヴェルフォルニアから離れて行くのを、ジェルダム達が見張っていた。


部下2「彼らは何と話したのでしょうかねぇ?」

ジェルダム「どうせ揉め事だろう」

部下1「帝国軍の再起を聞き、主導権の奪還の為に用意周到を準備をし、
ヴェルフォルニアの騒動に乗じて、高度な魔術の情報を盗み出す。 上手くやり遂げましたな」

部下2「でも、ヴェルファイアは守り遂げたのですがねぇ…」

ジェルダム「だが今回の一件でしこりが残ったぞ」


今回の襲撃戦はデイル達の勝利で終わったが、ゼロスが偽者であると関わらず、
将軍グランドを始めヴェルフォルニアの国や周辺の国々と民の一部まで
帝国軍に対する不安や噂、裏切りによる憎悪が広がる形で終わるとジェルダムは見ている。


ジェルダム「いずれ分裂し抗争となる。 その時が機運となる」

部下1「でしょうね」

ジェルダム「気を抜くな。 下手をすれば、こっちにも災いが降りかかるからな。 ここから離れるぞ」

部下1「了解しました」

ジェルダム「ところでな、再起の話は何処で聞いた? 」

部下1「噂で聞いたんです。 私も信じがたいものでしたが、ある村で焼き討ちが起きてまして、
焼け跡から帝国軍の物が落ちていたんですよ。 それが瞬く間に帝国軍が再起するんじゃないかと噂として瞬く間に広がりまして、
これは我々に運が来た事を確信したんですよ」

ジェルダム「そうだな…、お前が俺に総大将みたいに仕立て世界の頂点に立とうと焚きつけた訳だな」

部下1「何を仰るのですかぁ。 貴方も色々考えて、私の壮大な計画に乗ったのでしょう?」

部下2「意外とこいつが発起人だとはなww」

ジェルダム「じゃあ話は終わりだ。 行くぞ、俺たちは生まれた時から世界から弾かれる定めにある者達として…」






一方、ダークゼイターは…。

海次「どうやら動揺が広がっているみたいだね」

ダークゼイター「海次よ。 今この世で最も強い戦法は何だと思うか?」

海次「兵器とか魔術、レインボーロッド…。 う~ん、どれが一番の戦い方か選べないねぇ…」

ダークゼイター「そうじゃないぞ」

海次「…?」

ダークゼイター「情報だ。 悪い噂という不確かな情報が人々の不安と憎しみが募り、やがて破滅の方向へ向かって行くのだからな」

海次「へぇ…、確かに有効だね。 誰が流したんやら」

ダークゼイター「何を言う? もう明らかだろう」

海次「あはは、そうだよね。 
村を燃やして、帝国軍の装備のレプリカを蒔いて噂を広め、
ヴェルフォルニアに偽者を放り込んで滅茶苦茶にした人が隣の隣にいたんだよねぇ。

全くだ、こんなところで忘れちゃうなんてね。 じゃあ、用は済んだから行く?」

ダークゼイター「これはお前との日帰り旅行ではないぞ」

海次「まだ何かするんだよね。 何をするんやら」


二人の目先に映るヴェルフォルニアの真上にこもる灰色の曇り空。
まるで平穏の終わりを物語っているように見えた。


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