火山の腹をえぐるように伸びた道は、崖のような高台へと続いていた。
岩肌は熱を帯び、足場は脆く、一歩踏み外せば奈落へ吸い込まれそうだ。
正男は慎重に足を運びながら、隣を歩くダークピカチーに目をやった。
正男「…相変わらず、険しい道だな」
ダークピカチー「俺はこの最大の戦いに満足しているぜ」
ダークピカチーは尻尾を揺らし、黒い体毛に赤い火山灰をまといながら、どこか弾むように進んでいく。
やがて、霧の向こうに城影が浮かび上がった。火山の縁に築かれたその城は、溶岩の光を反射して不気味に輝いている。
正男は息を呑んだ。
正男「…いつもどおりだな。 城が建てている事は奴がいる」
その確信に、胸の奥がざわめく。ダークピカチーは城を見つめ、目を輝かせた。
ダークピカチー「ついに来たか! 奴の陣城が!」
正男「よしっ 気を引き締めて行くぞ」
数歩進んだところで、正男はふと足を止めた。
正男「あっ、そうだ……」
ダークピカチー「ん?」
ダークピカチーが振り返る。
正男は気になる事があった。 それをダークピカチーに尋ねた。
正男「なぁ…、ザトシの事なんだが、何故襲った? ミウセカンドとコガに組んでる訳じゃねぇのに」
ダークピカチー「あぁそれはな…」
ダークピカチーは一瞬、耳を伏せた。
火山の風が吹き抜け、沈黙が落ちる。やがて、ぽつりと語り始めた。
ダークピカチー「ピカチーだった頃、クリスと共にザトシに会った。 まぁいつもの事だ。
だが、その時のザトシは飲み会とかで酒に酔っていた。
アイツは俺の耳を手羽先が何か腑抜けた事を言いながら、口で咥えやがったんだ」
正男は思わず眉をひそめた。
正男「え…?」
ダークピカチー「酒に酔ってふざけていたのは分かるよ。
でもよ、自分のアイデンティティを、汚されて、滅茶苦茶カッとなったんだよ。
いつか仕返ししてやろうと考えた。
ダークピカチーになった時、またザトシと出会って、あの時の事を忘れんぞと言わんばかり股間に電気ショックを与えた」
正男は言葉を失ったまま、耳を傾ける。
ダークピカチー「ちょっとやり過ぎて、ザトシは気を失っちまった。
病院に送らそうと考えたが、この黒ずんだ身体じゃ、人間に怖がられると思うからよぉ…、どうすればいいのか迷ったら、
偶然、紫色のコートを着た男たちが通りかかったんだ。
丁度良いと思って、何も考えずザトシを渡した」
正男「…っ」
紫色のコートを着た男達…、正男はコガの部下だと確信した。
こんな理由で自分はザトシと敵対するような事になってしまったのか?
それに世界一を目指したザトシがピカチーの耳を噛むとか…
ダークピカチー「だが、こんな大変な時だと気づかずザトシをやってしまったのは悪いと思っている」
正男はしばらく黙っていたが、やがて深く息を吸い、前を向いた。
正男「まぁザトシはふざける事があるからな…」
二人は再び歩き出した。足場の悪い道の先、火山の縁にそびえる城へ。
ミウセカンドとの対峙が、すぐそこまで迫っていることを、互いに感じながら…
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