ダークゼイター「どうした? あの時の余裕を見せないのか?」

正男( くそっ 前のようにいかないか )

ゼロス「魔法でどうにかするぞお前ら!」

マシュリン「お前らって…、アンタ…、えいっ!」

ルルン「そりゃあ!」

ダークゼイター「フンッ!」

三人「なっ!?」


三人による魔法での一斉攻撃、しかしダークゼイターの腕払いであっさりと跳ねのけられてしまった。


ダークゼイター「まぁ無理もない、貴様らは俺が表に出るまでトンパチをやりまくったんだ。 力不足もあるだろう」


エメラルドシティで初めて戦った時のようにいかなかった。


ダークゼイター「さぁそろそろ締め括りをさせようか!」


ダークゼイターは剣を天に振り上げ、空に雷雲を起こし、降りかかる雷に剣に集中。
誰から見ても全滅しかない凶悪な必殺技を仕掛けようとしている。
二ヤリと笑みを浮かべながら、正男たちに振り払おうとしたが…


ダークゼイター「なっ 腕が動かん! …くっ どうやら加勢が入ったか!」


呪いを掛けられたかのように全身が動かない。
正男たちはゼイターの背後に動きを止める者達の姿が見えた。


正男「お前たちは!」

ゼロス「竜神王、スペール、マリネ!」

マシュリン「良かった…」

ルルン「これは熱い展開だよ!」

スペール「へっ 間に合ったみたいだな」

マリネ「私たちの存在を忘れたみたいね」

レオナルド「此奴の動きを止めている間にトドメをさせ!」

正男「おうっ 分かった!」

ゼロス「行くぞ!」

マシュリン「えぇっ!」

ルルン「もちろん!」

ダークゼイター「くそっ ご都合主義なぞあってたまるか!」

4人「うおおおおっ!」


ダークゼイターは三人に掛けられた魔法を振り解こうとするが、消し去るまでの僅かな時間の中で
正男たちの強力な必殺技を受けてしまった。


ダークゼイター「ぐわあああああっ!


致命傷を受けたダークゼイターはフィールドから転落。
フィールドの真下は火山から流れる溶岩の川だ。


ダークゼイター「またしても無念…、だがこの程度で敗れはしない。 次ぎ会う時は…」


含みを持たせた台詞を吐きながら、地上に流れる溶岩に落ちていった。
溶岩の川に嵌る彼の姿を正男たちや帝国軍の者達が見届けた。


正男( 危なかった…、レオナルド達の戦いで判断を誤ったら俺たちは死んでいたかもしれない… )







~ 地上 ~

正男「何だか物凄い借りができてしまったな…。 感謝するよ」

レオナルド「礼は及ばぬよ。 命を救ってくれた褒美だからな」

ルルン「あれっ? 色んな国の人たちがやって来るよ」


ルルンが指差した方向を見ると、ヴェルフォルニア、アクアリアス、フレイムの国の人々が武器を構えて、
帝国軍の領内へやって来た。
人々が帝国軍の者を見た時、武器を構えて襲い掛かろうとした。



スペール「人間共か…。 正男とやりあっている間に盛り返ししたようだな」

マシュリン「もう戦いが終わったと伝えなきゃ」

正男「いやっ もうその必要はないみたいだ」


「しばし、待て!」

「ですが、しかし…」

「俺が知っている男はいがみ合っているように見えない。 俺が彼から事実を聞きに行ってくる」


夫々の国を引っ張る先導者の一人が『待った』と人々に制止を掛けた。
戦の士気を抑えた男はデイル。
帝国軍に洗脳され、マシュリンと戦い、洗脳から解き放たれた戦士だ。

デイルは一目見ただけで、敵対関係ではない事に気づいたのだろう。


正男「お前は確か…」

デイル「君は正男か…、この世界の人間じゃないんだね」

正男「あぁそうだが…、ちょっと待て、アンタに名前を言った事があったか?」

デイル「ジェルファの悪事を探っている内に君の情報が書かれた資料が見つかってね…」


デイルや各国の地位の高い者達は横暴な振る舞いをするジェルファを快く思っていなかった。
今回の戦乱が、ジェルファの悪事で引き起こしているのではないかと疑いを持ち始めていた。

争乱の間に彼らはジェルファの周りのものを徹底的に調べ尽くした結果、案の定、確定的な証拠が湯水のように湧き出した。

正男の存在もジェルファの証拠の中から発出されたものだ。

既にデイル達は戦争の真実を知り尽くしていたのだ。


デイル「この穏やかな空気…、正男が争いを納めてくれたそうだな。 相当苦労を掛けてしまったみたいだな」

正男「いやいや、お陰でスッキリした」

ゼロス「正男、因縁の相手だったお前がこんな形で平和に終わり、この世界の英雄になるとはな」

正男「嫉妬か…?」

ゼロス「羨ましくて溜まらんよ」

マシュリン「でっ どうする?」

マリネ「穏便に締め括られたから、このまま和平交渉に持ち込むのはどうかしら」

ルルン「いいね、とっても最高の終わり方だよ」

スペール「じゃあ、どっかで仲直り記念パーティでもやっちまうか」

レオナルド「是非そうしてもらおう」


これで本当にこの世界で繰り広げた帝国軍との戦いは本当に終結した。 穏やかな形で…。


ゼロス「正男よ…」


正男に肩を叩きながら囁いた。


ゼロス「改めて感謝を申し上げるぞ」

正男「あぁ」


終結後、この世界の人類はレオナルド率いる帝国軍と和平交渉を行い平和条約を締結した。
彼らがパーティを繰り広げた後に正男は彼らに別れを惜しまれながら、転移魔法で元の世界へ帰還した。









数ヶ月後…


浩二「…そうなんだ、兄さんが行方不明になって大騒ぎになってたけどそういう事があったんだね」

正男「そういう事だ。 俗に言う、異世界転移。 信じられないばかりの事を肌で体感した訳だ。 じっくりと話したが何処まで信じられる?」

浩二「家の近くに宇宙船が落ちてから物騒な事が起きてばかりじゃないか? こんな奇妙な事に巻き込まれても可笑しくないよ。 兄さんの事だしさ」

正男「全部信じるって事で良いんだな」

浩二「いいなぁ…、兄さんはあっちの世界で冒険するなんてね。 しかも最終的には英雄扱い。 王道過ぎて羨ましいよ」

正男「帰れるかどうか不安だったんだぞ。 止めといたほうが良いぜ」

浩二「あはは、冗談だよ。 高望みは禁物だね」


ゼロス達との最後の戦い、元の世界へ帰った正男は自宅で浩二と和気藹々としていた。
世間では認知されていた正男が突如行方不明になった事で、浩二を始めとした人々が正男が帰って来るまで騒いでいた。
この世界へ戻って来た正男は世間に黙って一人で旅をしていたと嘯いた。

異世界で冒険をしただなんて信じる筈は無い。
もし信じたら、何やら面倒な事が起きてしまいそうな予感はする。

ややこしい事は避けたいと考え、あえて浩二だけに真実を話したのである。


正男「これで因縁の対決は終わった。 アイツと出会ってからとても長い冒険だった」

浩二「ペットモン退治が減った時のような生活に戻っていくんだね」

正男「あぁ、とってもみっともない事をな。 でも良いだろ? 俺は余りにも暇の少ない冒険をし過ぎたしさ」

浩二「まぁ言われてみればそうだね」

正男(墜落した宇宙船…、思い出したよ。 ASは星の国に元気にしているかなぁ)


宿命の戦いが終わった正男。
ASとの出会いからゼロス達との決着までの出来事を脳裏に一つずつ思い浮かべる。
気の遠くなる冒険だった。

二度とこういう事は無いだろう。
その後、何をすればいいのか…? 
それよりもまずは休息を取ろう。 決めるのはそれからだ。


正男「浩二、俺は結構疲れたから。 上で寝ていくわ」

浩二「はいはい、おやすみなさい」


そう思いながら、正男は自分の寝床に向かって行った。
















地球から遠く離れた星にて…

宇宙に浮かぶ星の国。
かつてゼロスが野望の為に占拠していたが、正男の活躍で野望を打ち砕き、
永遠の平和が訪れると誰もが思われていた。 

しかし、国中の街が炎で燃え盛っていた。
街中に逃げ惑う人々達。 その光景を焦りの表情を浮かべながら直視する者がいた。


AS「女王様っ! 早くお逃げください」

女王「それはなりません。 貴方が先に逃げるのです。 
でなければ、この国の長としての面目は保たれません」

AS「ですがしかし…」

女王「AS、貴方はこの国の王子…。 いずれ貴方が星空が永遠に見えるこの地で納める身になるのです。
私の事は構いませんので…」

AS「…」

女王「早く行ってっ!」

AS「うわあー--っ!」


女王の気迫が込めた後押しに押され、ASは脱出艇に向かった。
そして脱出艇に乗り込む。

しかし、脱出艇のコックピットの前に黒服の男が着地。 ASは驚いた。


AS「なっ 何者だ…?」


ASは震えた。 
過去の惨劇を教訓を基に、鍛錬を積みこんできた筈なのに男を見る度に恐ろしく感じる。


???「フフフ…、俺か? 俺はやるべき事を成し遂げる男だ。 
安心しろ、お前とその家族の命は奪わん。 逃げることも許してやる。
だが、その前に正男に会ったらこう伝えろ…。 フンッ!」

AS「うわー---っ!


そう告げると、男はASが乗る脱出艇の背後に移ると、足で軽く地球に向けて蹴り飛ばした。
地球へ落ちていく脱出艇を見届けた後、黒服の男は背を向けた。


???「正男…、ダークゼイターによって地球が滅茶苦茶になる前に
良い思い出を沢山積み込むんだな…」




本当の最後の戦いが迫ろうとしている…



スーパー正男  THE END


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